■35 ページ18
朝からまともにAの顔を見られなかった。
全くの自業自得というか、Aになんの非もない。むしろあいつは被害者と言っていい。
、
心配かけてすまない、もう大丈夫とその時は思っていた。Aも安心して寝室で眠りについた。
眠りが深くなった頃、俺はプレゼントを持ってAの部屋に入った。これまでの経験上、自分の気配を消すことは造作もない。
「(枕元にプレゼントを置くか。しかし…)」
こいつ部屋に鍵もしてなかったぞ。俺だからいいが、同じ家に男が居る女とは思えない程危機管理能力が…、いや、こいつに限ってそれはないのか?ならそれだけ俺に信頼を置いているということか。
それは、……どうなんだ。
いや、どうとはなんだ。喜ばしいことだ。いやしかしそれでもやはり一定のラインを引くべきで。だって今現に俺はやろうと思えばこいつを押さえ込んで好きに、
「、何考えて、るんだ…………」
そんなことしたら、俺を汚したあいつと同じだぞ、いや、しないが。第一、大切なAにそんな………………
…………大、切。
『………ん、ぅん……………』
「!!!(うわっ、落ち、)」
急に寝返りを打ったAの声に俺は急に現実に引き戻された。と同時に驚いて手に持っていたプレゼントを落としそうになる。
前に倒れそうになりながらもベッドの枠を支えになんとかなった。
「(あ、あぶなか………)」
目の前に、無防備なA。
その時、俺はなんでかわからないが無性に腹が立った。
くそ、ちくしょう、
このままキスしてやろうか
こんなに無防備に。
俺ばかり意識して、
俺はこんなにもお前のことが好きなのに。
、
「は?」
『…………ん、』
「!!」
そこからは、なんとなく記憶がぼんやりしている。気づいたらリビングに居て、左手にはプレゼントが。また渡せなかった。
それよりも、それよりもだ。
、
俺は
Aのことが、好き…………?
56人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ばんぶー | 作成日時:2020年12月6日 4時