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『久々に来たわ!実はね、私水族館がとても好きなの!こうやって大好きな場所に52と来れて本当に嬉しいわ!』

「そうか。」


今朝から52は更に様子がおかしくなった。一見したら分からないだろうが瞳が常に揺れている。一晩のうちにいったい何があったのだろう。


しかしそんなことを気にしつつも二人はしっかりと水族館を楽しんだ。


最近よくAは思う。52といると心が安らぐと。何も気にしなくていい。52を心から信頼しているから。


心の綺麗な彼だからこそ、Aは彼の幸せを心から願った。いつか彼が心から笑える日々が手にはいって、ここじゃなくてもいい、彼の好きなどこかの街で誰かと。


誰かと……………



いつもここで思考は途切れる。誰かとはいったい誰なのだろう。

私ではないのだろうな、と想像をしてみるけれど、どうにも納得できない自分がいる。


『(これは、嫉妬?)』


しかしAはその気持ちに確証が持てなかった。初めて出会った安心できる存在として彼を求めている気がして、男性として求めているとどうにも納得ならなかったのだ。



『楽しかったわ!お土産買いましょう』

「誰に渡すんだ?」

『誰にも。自分へのお土産よ。形として思い出を残すのよ』

「形として…」

そういうと52は色々と物色し始めた。どうやら私があげたお金を持ってきているみたいだった。

しばらくして私たちはそれぞれ買い物を終えて帰宅した。









「そういえば、水族館でAは何を買ったんだ?」

『私?ぬいぐるみとかお菓子とか…あ、そうそう。はいこれ。』

そういって栞を渡す。

『綺麗でしょ?52、本読むことも多いだろうしいいかなと思って。52は何を買ったの?』


「……ちょっと待っててくれ」


そういって立ち上がった52は可愛らしい袋と水族館で買ったものを持ってきた



「これ、今日のやつと、お前に似合うと思って…」

そういって水族館のキーホルダーと小包を渡してきた。キーホルダーはよく見るとペアものになっていた。意図したのかどうかは定かではないが。小包の中には可愛らしいイヤリングと髪留めが入っていた。

『可愛い……私に?』

「他に誰がいるんだ」


照れくさいのかそっぽを向く。

『ふふ、ありがとう!』




嗚呼、なんて愛しい。













キーホルダーがペアものだと教えてまた52が照れていたのは別の話。

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作者名:ばんぶー | 作成日時:2020年12月6日 4時

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