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神様も仏様も、なにも手伝ってなんかくれない。導いてくれない。
現実は全て現実。
『決めるのは自分自身ですもの。』
そう言うと52は目を見開いた。
「自分、自身…………」
『そう。貴方がしたいことをすればいいの。貴方がやりたいようにやればいいの。人間は、とっても自由なのよ。』
「、。自由。」
『ええ。そして、その途中で何かあったら神様や仏様に後押ししてもらえば良いのよ。』
52はそのまましばらく黙り混んでいた。
『ゆっくり、考えればいいわ。今言ったのも私の一個人の考えだもの。貴方が別の考えを持っていても良いのよ。』
そうして、二人はそこから立ち去った。
清水寺からでて坂を下る。観光客はまだまだ沢山いる。
「…………A、」
『ん?』
「…………はぐれる。」
そう言うと、52はしっかりと自分からAの掌を握った。
『!!ふふ、そうね!』
Aもまた、にこやかに握り返した。
少しずつ懐いてくれていることがAは嬉しかった。
清水寺から出るとちょうどいい時間で、お昼ご飯を食べることにした。
定食屋で二人は注文をし、二人分揃うのを待って食べ始めた。
「……Aが作ったのとは、なんか違う感じがするな」
『そりゃそうよ。食を売り物にしてる人とアマチュアの私じゃ出来上がりは当然違うもの』
52は少しだけ眉をよせた。
それにAは気づかないようだった。
『ね、美味しい?私にも一口ちょうだい?』
そうしてまたお互いに一口ずつ分け合う二人。
『私のと同じ味ね、美味しいわ!外で食べるのも悪くないでしょう?』
「ああ。旨いし、悪くない。」
『祇園さんは今度にしましょう。本屋に行って帰りましょうか。』
「祇園さん?祇園とは町の名前じゃないのか?」
『祇園さんっていうのは八坂神社のことよ。昔はみんなそう呼んだのよ。』
52は不思議そうにしている。
『さて、行こうかしら』
二人は定食屋を出て本屋へ向かった。
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作者名:ばんぶー | 作成日時:2020年12月6日 4時