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いわく、富豪と呼ばれる人の元に産まれ、
いわく、放任主義とか言うやつで、
いわく、私はお人好しらしく、
いわく、いくらでもお金は使っていいらしく、
いわく、私は貯金が好きらしい。
そうして金を貯めていたからか
お金目当ての人が多く私の周りにいた。
『は、…?』
家に帰ると知らない男の人がいて
玄関を閉めたら組み敷かれた。
「ここはどこだ。何が狙いだ。お前は誰だ。」
『(…、?強盗??)ここは私の家で、私は竜村A。狙いって何のこと?あなたはだれ?』
「…………」
『(暗い紫の髪に、どこまでも暗い瞳………)とても綺麗ね。』
彼はまだ黙ったままだ。
『沈黙。まるでラベンダーのような人ね。』
「…………」
しばらくして、彼は私の上から退いた。
『私の質問には答えてくれないの?』
沈黙
『あ、』
「………」
『お肉が悪くなってしまう』
「…は?」
今日特売日で少し多めに買ってしまったのよね。
『あなた、夕飯はまだ?食べていってよ。』
「……はぁ。」
呆れた顔をしながら、大人しく彼はリビングについてきた。
『ラベンダーさん、』
「……」
『ラベンダーさん、あなたアレルギーは?』
「…」
『ちょっと、無視しないでよ。貴方のことよ。』
「…ラベンダーと呼ぶな。」
『あら、名前を教えてくれなかったのは貴方よ、ラベンダーさん。ねえ、アレルギーは?』
「……ない」
『そう、良かったらそこに座っていて。』
しかし彼は警戒した様子で私から目を離さない。
私と同じ、人を疑うことになれた目だ。
『不安ならこちらに来て手伝って。そうしたら安心できる?』
「!」
読み取れるか否かというほどの表情の変化。
ゆっくりと彼は近づいてきた。
『簡単なものにしましょう。野菜炒めでいい?』
「……ああ」
___________________
急に二人分、しかも男性が食べるから多めに作った、ほぼできあいのもの。
それにしては上出来だ。
『ほら、座ってラベンダーさん。いただきましょう』
私が食べはじめてもなかなか手をつけない彼。
『……』
私は席を立って大皿を取ってくると自分のものと彼のものを全て大皿にごちゃ混ぜになるように入れた。
『これでどう?』
「………」
ゆっくりと彼は手をつけ始めた。
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作者名:ばんぶー | 作成日時:2020年12月6日 4時