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■51 ページ2

俺のせいだ。



俺のせいで、



あの家族は死ぬはずじゃなかった



恩を返すつもりだったのに。



もう何もいらない。



何かを手にして、取り零すのはもうごめんだ。



このまま、俺は独りで。


___________________
「………?」


どこだここは。

俺は野宿したはず。

拐われた?

それなのにここは、家?

ネザーじゃない?

誰が何のために?

家主が帰ってきたら洗いざらい吐かせてやる。








と、思っていたのに。


『……とても綺麗ね。』


男に組み敷かれても動揺しない。


頭のネジぶっとんでんのか。


しかしその瞳は光の元で暮らす奴のものだ。


俺とは住む世界が違う。


『あ、』

「………」

『お肉が悪くなってしまう』


「…は?」



やはり、こいつぶっとんでやがる。

_____________________

毒が本当に入ってないらしい野菜炒めをぱくぱく食べる女。


それを見て俺も手をつける。



「、(………うまい…)」


あの家族と食べた味だ。


あたたかい、家庭の味。


俺は無言で食べ進めた。



『ねぇ、ラベンダーさん。どうして私の家にいたの?』

「……それ、やめろ。52(ファイブツー)だ。」

『52?』

「名前だよ。」

『珍しい名前ね』

「お前も、タツムラなんて初めて聞いた名前だ。」

『竜村は名字よ。名前はA。52は外国の方なのかしら?』



原国式の…?ならここは浅草か?



「ここは、浅草なのか」


『やだ、浅草なんて。ここは京都、祇園よ?東京なんて、せっかちな所。』


京都……?


「……ここは、なんて言う、国だ」


『?日本。日本国よ。東アジアの先進国。ジャパンって言った方が伝わる?』


「!?」



それは、遥か昔に滅んだはずじゃ…


「……今は、何年だ…」

『2020年。令和2年よ?日本語が達者なのにその辺の知識は浅いのかしら。』





困った。こいつが嘘をついている様子でもない。


本当なのだ。



だとしたら、別の世界線、もしくは過去に飛ばされた…?



『ねえ』



俺が黙っていたからか、声をかけてきた。



『あなた、帰るところは?』


「……そんなもの。」


『じゃあしばらくうちに泊まりなさいよ。丁度一人は寂しかったのよ。』





、お人好しにも、程がある。



『とりあえず、今日はソファーで寝てね。また明日色々話しましょう』


じゃ、といって、あいつはさっさと食器を片付けて寝てしまったようだ。

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作者名:ばんぶー | 作成日時:2020年12月6日 4時

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