3.ルチウス認定 ページ6
「おぉ〜人がいっぱい…」
「クランク、よそ見をするな。ぶつかるぞ。」
…デイヴィス、なんかお母さんみたいなこと言ってるな。いつものことか。それにしても人が多いな。…一応名門校だもんな。一応。
座る予定の教員席の方を見ると、先にトレイン先生が座っていた。そういえば、俺達が学生の時からお世話になっている。よく爆発を起こして怒られてた記憶がある気がするけど、気のせいか！
「トレイン先生、こんにちは。」
「クランク先生…随分と久しぶりですね。」
「そうでしたっけ？今度店に来てください。美味しいコーヒーを提供しますよ。ルチウスのご飯も。」
「それじゃあ、今度お邪魔させてもらう。」
トレイン先生はルチウスの話題になると、少しだけ頬が緩む。この人は、そういうところが昔から面白いんだ。トレイン先生と会うと、毎回カフェに来てという約束をする。何故なのかは俺もトレイン先生もわからないが。でも、ルチウスがうちの店を結構気に入っているらしい。それは鼻が高いな、トレイン先生(ルチウス)公認だなんて。
会話の切りがいい所で近くにあった椅子に座った。古いのか、少しギシギシ聞こえる。まあ、この学校よりは新しいか。…その理論で考えたら全部新しいけれども…
俺の隣はデイヴィスだった為、今年はどんな子達が入ってくるんだろうね、などと、ひそひそ皆がやっている、定番の会話をした。少しは安定するといいな。これ以上荒れるとまずい。
「俺、結構闇の鏡と仲良いんだよ。」
「は?どうやったら仲良くなれるんだ…」
「知りたいの?教えてあげるよ。」
「そういうわけではない…はぁ…」
デイヴィスと喋っているうちに、気づいたら入学式は終わりに近かった。周りの声を聞くと、どうやら学園長がいないみたいだ。腹でも痛めたのかという台詞に俺は笑ってしまう。
「あの学園長が…っふ、腹を……ふ、めちゃおもろい…んふふ…」
「違いますよ！」
俺の声を遮るように(俺だけではないが)大きいドアの音と学園長の声がなった。学園長は手に狸のような生物を抱えていて、右隣にはみたことのない制服の男の子がいた。…何だか魔法の気配が無い気がする。でも学園の不祥事だなんてここ100年起こっていないしね。
「汝の名を告げよ」
「…ユ、ユウです」
「汝の魂の形は…...................」
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作者名：ユウ | 作成日時：2023年7月2日 6時
