はじめまして、妹 ページ33
〜No side〜
ーべしっっ
徳「...おっす」
「...徳川君」
月華から去って数十分ぐらい
歩いた後の、徳川チョップは
意外と痛かった
「...見てた？」
徳「話は聞いてた」
「...そう」
「...今、あっちに代わ」
徳「あーあ、俺も
未練がしぶといな」
「未練？」
徳「もう一人のお前」
光一が指を指したのは今
尚この状況を楽しんでる
であろう『彼女』がいる
場所、胸の中枢
「...ぁ、のさ」
徳「いいよ、別に」
しょうがないからな、と笑う
彼に益々...申し訳なさが出る
「...えっ、と」
徳「だから、分かってるって
『お前』は俺が好きじゃない
のは」
徳「『お前』が出てきた以上はさ
『アイツ』も当主の時しか出なく
なるんだろ？」
「そ、だけど...」
徳「だから」
ーぽすっ
光一は抱きしめ頭を撫でてあげる
邪な思いは一切無い、ただ慰めて
あげたいという慈しみから
徳「『お兄ちゃん』に甘えられ
なくて辛いだろ？俺じゃ役不足
だけど...」
「...ん...で？」
徳「ん？」
ゆらゆらと揺れつつ頭を撫でられ
ふつふつと込み上げた涙が光一の
服を濡らす
「なん、で...」
「
て...分かっ、たの...？」
徳「...分かるよ」
『アイツ』が言ったんだからな
徳「(...な？)」
向かい側のガードレールの上では
彼女は相変わらずクスクスと笑い
『やっぱり君は面白い
な』と彼に言いました
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作者名：スカーレット | 作成日時：2021年12月15日 14時
