なすがまま。(Tr×Ei) ページ9
最初は
ドッキリを仕掛けてやるつもりだった。
カメラもきちんとセッティングして
お互いに笑って終わるはず…だったのに
今俺は
ソファに押し倒されている。
形勢逆転…といったところか。
「ね、ちょっ、みっく…ん」
『なに』
「カメラ、回ってるから、ひぁっ!」
首筋を舌でなぞるように舐められて、思わず声が漏れた。
『別に良くない?それに、仕掛けてきたのそっちだし…仕返ししなくちゃ、ね?』
そう言って俺に向けた笑みは、熱を含んでいる。
『あーあ。この動画完全にお蔵入りじゃん。残念だったね、えいちゃん?』
「…っ!!」
『ねぇ。俺もう、えいちゃんに守ってもらってばかりの俺じゃないんだよ?』
「みっく、ん」
『いつまでも子供だと思ってるのは大間違い。俺だって男なんだよ?好きな奴にそんな風に誘われて、靡かないワケない。
今の状況を恨むなら、自分の行動を恨んでよね』
…今の彼は、普段よりも饒舌で
思わず怯んでしまった。
「只で済むと思わないでよ?」
…怒らせたら怖い事を
今日、初めて知った。
全部、知ってるつもりだった。
知ってる気でいた。
……けど、違った。
長い付き合いなのに
彼について未だに知らなかった一面があったなんて
自分でもびっくりしてる。
けれど、それと同時に
新たな一面を知る事が出来て嬉しいという気持ちもあって
そんな二つの感情がごっちゃになって
何とも不思議な…今までコイツに感じた事がない気持ちが自分の中で芽生えて戸惑う。
『どうしたの』
「いや、ちょっと…頭ん中整理してる」
『…何も考えないで』
「…え」
『今は、俺の事だけ考えてて?』
「ね、ちょっ、みっく…ん」
言葉はキスで遮られて
『えいちゃんの全部、今から俺が貰うから…覚悟しといてね?
…愛してる』
ああ、耳元でそんな甘い声で囁かれたら……何も考えられなくなる。
…全部、捧げたくなるじゃんか。
…本当、狡い。
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作者名:くうぉりしぴる | 作成日時:2019年8月16日 12時