迷子 ページ26
気配がまるで無かった。口調からに読み取ると、寝起きなのではないだろうか。それなのにあの動きだとしたら、かなりの実力者だ。私もこの方には適わないだろう。
『回し者、では無いです。私は東から来ましたが、そこの仲間ではないので』
仲間という単語を出す度に、それだけの関係という言葉が頭を過る。あちらは、住む場所を提供してくれたり訓練に付き合ってくれた等の事しかない。何故あの時は、少し胸が傷んだのだろうか。今思えば只の他人だ。
「あっそ、じゃあいいや」
反応が般若の方と同じだ。あ、そう言えば何処かに案内されていたんだった。と思っている間に、扉が閉められそうになっていた。
『あ、あの』
ギリギリ扉の隙間に手を挟み、閉まるのを防いだ。
「何」
『私、さっきの人に何処かに案内されている途中だったんです。でも案内人に襲われて、結局案内されずに終わったんですよ。なので……』
「案内しろってこと」
『そうですね』
「何処に」
確かに、何処に案内されていたんだ。
『さっきの人は般若の面を被った方に案内しろって言われてました』
「般若……あー、何となくわかった。めんどくさいことになる前に早く行くよ」
『はい』
面倒になる前とはどういう事なのだろうか。
出てきたその人はやはり先程まで寝てたのか、茶髪の寝癖が兎に角凄かった。格好は、一言で表すと宇宙人。派手な色とかではないが、一番これがしっくりする。流石にこの服装では戦わないだろう。きっと、部屋着なのだ。
歩いて10分が経っただろうか、いくら何でも着くのが遅すぎる。迷ったのか。いや、この人のアジトだ。迷うなんてこと……
「ごめん。迷った」
やっぱり、迷ったんですね。
逃げている時も思ったが、此処は結構入り組んだ造りになっている。私だったら迷うかもしれないが、何故此処に住んでいる人が迷うのだ。
迷った事に気にしていないのか、その人は能天気に欠伸をしていた。
『どうするんですか』
「知らない」
そう言うと、その人は硬いコンクリートを背に寝だした。
『え、此処で寝るんですか。寝心地悪いし、何より風邪とか引きますよ』
「大丈夫でしょ。何時も気付いたら部屋に戻ってるし」
それは、誰かが部屋まで連れて行ってくれているということだろう。そうしてくれるのは有難いだろうが、その時は何時来るのだろうか。
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ふわ - 全然大丈夫ですよ！この小説すきので無理をなさらない程度に頑張ってください ！ (2019年1月15日 21時) (
レス) id: 6b0daac0a7 (このIDを非表示/違反報告)
桜貝(プロフ) - ふわさん» 遅くなってしまい、申し訳ありません。励みになるコメント、ありがとうごさいます。 (2019年1月15日 1時) (レス) id: 6b2a63191d (このIDを非表示/違反報告)
ふわ - 好きです！頑張ってください！ (2018年12月11日 21時) (レス) id: 6b0daac0a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜貝 | 作成日時：2018年8月31日 23時
