東に ページ13
“大阪”とは、昔は天下の台所とも言われ、栄えていた所だ。私は行ったことがないが、年間で東京と匹敵する位の人が来るという。
『大阪……ですか。そこにみなさんの言う“アイツら”が、居るんですね』
う「その通り。厄介な能力を持つ者もいる。まだ能力がよくわからないお前に近づかせる訳には行かねぇんだ」
厄介な能力か……。どんな能力か気になる。少しの恐怖もあれば、心が踊るのを感じており、様々な感情が渦巻いていた。
う「ま、そういう事だ。あと、これ渡しとく」
うらたぬきさんから軽く投げられて来たのは、トランシーバーだった。容姿も中身も、一般的な物となんら変わりない。
う「使い方は……まぁ、何となくわかるよな。何かあったら随時連絡すること！」
『わかりました。あの、1つ頼みがあって、本を送ってもらいたいです』
う「ん、わかった。送ることは坂田に伝えとく。オススメのとかはセンラに聞いてみるといいぞ」
「あ、チャンネル教えないとな」と言い、紙に各々のチャンネルを書いてくれた。
う「ん、これで良し。一様そらるさん達のも書いておいたから。これで一旦お別れになっちまうけど、俺からあと1つ言いたいことがある！」
『何でしょう』
う「笑え！」
『はい』
う「笑え！」
いきなりそんなこと言われてもな。というか、私は笑えていなかったのか。
う「ほら、口角を自然に上げて」
うらたぬきさんに頬を掴まれる。すると、上下に動かし始めた。
解してもらった後に頑張って笑ってみたが、うらたぬきさんの顔が引きつっていた。どうやら失敗してしまったらしい。何だか申し訳ない。
う「って、つい長話してごめんな。出入口まで送る」
そう言うと、私にとって少し重いリュックを、軽々と持ち上げてくれた。
う「どう、この世界」
唐突にうらたぬきさんは聞いてきた。
『楽しんではいますよ、一様』
う「楽しい？」
『私達は死んでも生まれ変わることはもう無いと思うんです。だから、こんな世界になった以上は楽しまないとって思います』
う「そっか。じゃ、俺も楽しまないとな！」
そう言うと同時に、両腕を思いっ切り上に挙げた。これは楽しいという表現として受け取っていいのだろうか。
う「それじゃ、気を付けてな」
『はい、本当にお世話になりました』
スクーターのエンジンを掛ける。うらたぬきさんからリュックを貰い、それを背負ったのと同時にスクーターを発進させた。
できるだけ東に。
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ふわ - 全然大丈夫ですよ！この小説すきので無理をなさらない程度に頑張ってください ！ (2019年1月15日 21時) (
レス) id: 6b0daac0a7 (このIDを非表示/違反報告)
桜貝(プロフ) - ふわさん» 遅くなってしまい、申し訳ありません。励みになるコメント、ありがとうごさいます。 (2019年1月15日 1時) (レス) id: 6b2a63191d (このIDを非表示/違反報告)
ふわ - 好きです！頑張ってください！ (2018年12月11日 21時) (レス) id: 6b0daac0a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜貝 | 作成日時：2018年8月31日 23時
