>>>告白 ページ19
「……えっ、?」
握られていた手の力が緩む。
俺はそっと、Aから手を離した。
「俺、は…Aのこと…っ、…一人の女性として…好きなんや…。Aが笑ったり、照れたりしてる顔を見るだけで、すごい嬉しくなる。Aがセンラとかと話してたら、胸がきゅうって締め付けられて苦しくなる」
「…し、ま…」
俺の言葉に、Aは信じられないと言ったように目を丸める。
「Aがネットで出会ったやつを信用できないことはわかってるんや。だから、俺も、この気持ちを殺そうとして、ずっと、“良い友達”でいないとって…でも、もう、気持ちを抑えられなくて…。もっと、Aの特別になりたい」
Aの表情を見るのは怖くて、目を伏せる。
「もう、我慢するのが苦しくて、言ってもうた。だからこれは、俺のワガママなんや」
自嘲するように、息を吐く。
「どうしても、俺の気持ちを伝えたくて、伝えた。もし、俺をAが拒絶するなら今日のことは忘れてほしい」
はっ、と、短く息を吸う。
言いたくないけれど、伝えなくちゃ。
無理して俺と関わりを持たせ続けるわけにはいかない。
「もし……Aが気持ち悪いって思うんなら、もう、会うのはやめようや」
声が震える。
せっかく出会えた縁を手放したくない。
今度こそ、もう会えはしないだろう。
でも、それも俺の我儘だ。
“男”の俺を怖いと感じるなら、一緒にいたってAが苦しいだけだ。
恐る恐る目線を上げる。
「ぁ、あの、私は…っ、私、は…志麻のこと…っ」
声が震えている。
「今日はもうええ。帰り」
これ以上Aに無理をさせることはできない。
「…っ、ご、めん…。時間が、ほしい…」
「あぁ…。俺こそ、ごめん」
そう言って、Aは走り出してしまった。
「…これはダメかな」
一人取り残された男の呟きは、都会の喧騒にかき消された。
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あぅ(プロフ) - さくたかさん» コメントありがとうございます!おまたせしてしまい申し訳ございません😭最後までお付き合いくださりありがとうございました!番外編、書こうか迷っていたのですが、需要がありそうなら書こうと思います!更新されるかもなので気長に待ってくださると嬉しいです(^^) (9月21日 22時) (レス) id: c2c6d1f2f8 (このIDを非表示/違反報告)
さくたか - 前に見させて頂いた時は完結しておらず、結局見れず終いでしたが最後まで見られて良かったです。素晴らしい作品をありがとうございました。番外編もし書かれたりされた時には大いに喜ばせて頂きます😭 (9月20日 20時) (レス) @page35 id: d8a709d348 (このIDを非表示/違反報告)
あぅ(プロフ) - 彩華さん» コメントありがとうございます!作者のモチベに左右されて完結が遅くなってしまったこと、とても申し訳なく思います……好きな作品と言って頂けて、とっても嬉しいです😭こちらこそ、最後までお付き合いくださりありがとうございました!! (9月18日 11時) (レス) id: c2c6d1f2f8 (このIDを非表示/違反報告)
あぅ(プロフ) - 零崎哀識さん» コメントありがとうございます!わ、何度も……!?本当に本当にありがとうございます😭そう言って頂けて、私もこの作品もとても幸せ者です……!こちらこそ、長くなってしまいましたが最後までお付き合いくださりありがとうございました!! (9月18日 11時) (レス) id: c2c6d1f2f8 (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 初コメ失礼します。とても好きな作品だったため完結まで続けてくださりとても嬉しいです。更新ありがとうございました。とても楽しかったです! (9月17日 22時) (レス) @page35 id: 496c654ce8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あぅ | 作成日時:2022年9月11日 19時