An evanescent dream.��

056-Draco side ページ7

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新学期。
正直に言うと、僕の気分は最悪だった

事の始まりは薬草学の授業

マンドレイクの植え替え中
苦しそうにしていたAを助けたのに
"やめて"と手を払われた

彼女は僕の話を聞かず
その場を逃げるように去ってしまった

汽車での一件があり少し気まずくなってたから
これで元に戻れるかも…そう思ってた

そして僕もちゃんと気持ちを伝えたい
そう決心したばかりなのに…

✡

グリフィンドールのマグルのチビが騒いでいる
耳ざわりだ、と僕は冷めた目線を送っていた

……見ていたのが間違いだったのかもしれない

ﾄﾞﾗ｢…！！｣

衝撃的な光景が目に入ったのだ

『…あっ！ちょっと待って』

曲がっていたポッターのネクタイを
Aは何のためらいもなくなおした

ﾊﾘ｢ありがと//｣

そう顔を赤くして俯くポッターに怒りが湧く
ネクタイを直してもらうなんて
僕だってまだされたことないのに
どうしてそこにいるのが僕じゃないんだ

…Aはポッターのことが好きなのか？
もしかしたら付き合っているのか？

ｸｿｯ！授業の後、無理にでもAを引き止めていれば

今更後悔しても遅いのに
行動できなかった自分に怒りが湧いてくる

ｸﾗ｢…マルフォイ？｣

ｺﾞｲ｢えーっと…新しいパンの食べ方？｣

ﾄﾞﾗ｢…あ｣

クラッブとゴイルの声に我に返える
2人の目線の先をたどると
そこにはお世辞にもキレイな形とは言えない
僕の手によって握り潰されたパンがあった



そして、その日からAは僕を避けるようになった

廊下で挨拶をしても
ﾍﾟｺﾘとお辞儀をするだけだったり
グレンジャーの後ろに隠れたり……

話しかけても
『…ごめんなさい』と言うだけでどこかへ行ってしまう


なのに

『ハリー！探してたのこれじゃない？』

ﾊﾘ｢うわぁ、A！キミ天才だよ｣

普通に話すんだな…

"ポッターと前より仲良くなっていないか？"
そんな余計な心配までしてしまう


どうして？どうしてなんだ

僕が初めにAの魅力に気がついた

僕の方がAのことをよく知っているのに

一応ハグだってした仲だ…2回も…

不安、怒り、嫉妬…

グルグルと色々な感情が僕の中で渦巻いている

ﾄﾞﾗ｢ｸｿｯ｣

怒りに任せて石の壁を蹴りつけた

ﾄﾞﾗ｢…ｯ痛い｣

ｼﾞﾝｼﾞﾝと足先に痛みが広がる

いや、傷んでいるのは足じゃなくて
僕の胸なのかもしれない

痛みのせいなのか
悔しさなのか
嫉妬のせいなのか

いつの間にか僕の目には涙が溜まっていた

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