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春原柚希/ヒメアミ様
呼称︰春原さん
かつて同じ小学校に通っていた、暫く顔を合わせていなかった先輩。
学校に顔を出さなくなるほんの少し前に、図書室へ本を借りに行った際、随分と幼い身なりでやけに分厚い本を借りていこうとする享を不思議に思った彼女が、声を掛けてくれたことをきっかけに知り合った。
自分に好奇の目を向ける同級生は居ても、態々声まで掛けてくる上級生は初めてだった為、意図が汲み取れないままで何となく受け答えを繰り返していたところ、意外にも話が合い、以降も図書室へ向かう度に言葉を交わすように。その珍しいファーストコンタクトから、享も彼女のことは不登校になった以降もふと思い出したりしていた。
そうして、記憶の片隅に彼女が居るまま、何気なく日々を過ごしていたところ。カスミちゃんの夢へ呼ばれてみれば、なんと彼女が居るではないか。
夢の中で現実世界での顔見知りと出逢うなどというほぼ奇跡にも近い出来事で、表情こそ変わらねど、享は大層驚いたようだ。
以前とはあまり変わらない気風に懐かしさを覚える反面、彼女から以前よりも無理をしているような感も同時に受けるもので、何かあったのかと密かに考察をすることもしばしば。
「……春原、さん。この本が、どうか……しましたか。…………ああ。確かに……図書室で、会ったときに、この本のことも……話題に、したことがあり、ました……ね。……読んで、みますか」
「あのあと……なんで、来なくなったか。ですか。…………あの場所には、もう……ボクは行けない、なと。そう、思ったので。春原さんも、中学校に行かれたんですよね。なら……もう気がかりも、ないです」
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