_ SV〜 ページ5
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それからは、彼女とはよく読んでいる本の話をするようになった。身の上話はする程のことがない、と彼からは切り出さないが、もし彼女から何かしら聞かれることがあれば、抵抗なく答える。
今でも彼女のことは本当の人間だとは思っていないが、それでも自分の話し相手になってくれる気のいい友人であることにかわりはないので、その点は気にしていない。
「カスミさん……夢を見ているだけのボクが、夢の中のあなたを友達と呼ぶのは、少し可笑しいのかも知れないですが。それでも、ボクの夢にあなたが出てこなくなるその日まで、ボクはあなたに、ボクの友達でいてほしいんです。……いつまでも、じゃあ……ボクが耐えられないと思うので」
【サンプルボイス】
一人称︰ボク
二人称︰あなた
「ボク、
「ボクは、あまり嘘が考えられるタチではないので、人をペテンにかけるのは苦手です。でも、いざというときには……ちゃんと、人を騙せないといけないんですよね。だから、練習は、してみています。でも、まともに吐けたのは一度だけで…………信じて、くれましたね。はい、今のものが生まれて初めての嘘です」
「夢の中には、友達が居るんです。でも、それが本物の友達と呼べるものなのかは、よく分かりません。ボクが難解に考え過ぎなだけ、と言われるかも知れませんけど……でも、ボクはどうにも簡単に物事を捉えることが不得手なので。それに、その楽天的な思考を学べる相手だって、居ませんし。居るとすれば、それこそ……夢の中の彼女程度なものですから」
「家族が去っても、友達が去っても、何も言えなかったボクですから。こんなときくらいは、怒らせてもらいたいです。……ボクには、あなたに罵詈雑言を浴びせるだなんて、そんな度胸はありませんけど。でも、拒否位ならできますし、できなくったってさせてもらいます。まだ子供だからと……あまり見くびった態度、取らないで頂けますか」
「ボク……母親のことは、嫌いではないです。でも、思い出したくはないです。母親とのことを考えていると、ボクは……ボクが捨てられたときのことを、思い出してしまって、嫌です。消えてしまう位なら、初めから…………そんな人は居なかったんだと、思っていたいんです」
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