愛は故郷にありました。 (ページ24)

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目覚め2 ページ24

Aサイド

長い眠りから目が覚めた感覚。
でもすぐにあちこち痛いのと寒いのと苦しい感覚に襲われた。

そうだった。
夢じゃないよね。手術したことも、島に戻ってきたことも、やっぱり現実なんだよね。

「痛い...」

あちこち体中痛いけれどやっぱりお腹の下のほうがズキンズキンと痛む。

和「痛いよなぁごめんな。お腹大きく切ってあるからね。痛み止め打ってあげるからね。お薬のアレルギーとかない？」

そんなこと聞かれてもわかんないよ。

和「わかんないか。多分東京で手術した後も使った鎮痛剤だと思うから大丈夫のはず。もし気分悪くなったら教えてね。」

島の診療所で、和くんに迷惑かけて。ゆみちゃんも夜なのにわざわざ出てきてくれて。
誰にも迷惑かけず一人で生きていこうと思って島に戻ってきたのに何やってるんだか。

「和くん、疲れてるでしょ？」

かすれ声しか出ないけど聞こえたかな。

和「俺の心配は良いの。ほら目を閉じて、10分もしたら痛み取れるからゆっくり休んで。朝までここにいるから痛くなったり息苦しくなったり気分悪くなったらすぐに教えてよ。」

なんでこんなに優しくしてくれるんだろう。
お医者さんて患者さんにここまで優しいのかな。
ふと松本先生を思い出した。
先生も何度も病室に足運んでくれて痛みはないか聞いてくれたっけ。
付き添いもなく一人で入院し手術を受け目覚めても一人、そして一人で退院していった私。

大丈夫か？と言ってくれた先生はきっと本当に心配だったに違いない。
そして今でもきっと心配してくれてるだろう。

喉がいがいがするんだけど、咳払いすらできない、今の体力じゃ。

和「お水飲むか？喉変な感じする？麻酔中はチューブ入れてたから違和感あると思う、しばらくは。
ちょっとあーんして。」

ライトのようなものを構えて目の前まで顔を近づてくる和くん。
お医者さんの和くんはこの距離に慣れてるかもだけど私は慣れてないよ。
びっくりだし、少しドキっとしちゃう。
酸素マスクを外される。

和「ほら、あーんして。喉傷ついてないか念のため確認させて。」

ほっぺたをつんつんとされたので仕方なく口を開ける。
こんなにも恥ずかしいんだね。

和「あーって声出せそう？無理しなくて良いからね。」

出そうと思ってスカスカで無理みたい。

和「大丈夫そうだね。お水持ってくるからちょっと待ってて。」

にこっと優しい笑顔を向けて部屋を出て行った。

その笑顔は反則だよ。好きになっちゃうよ。