【実況者】酒に呑まれて。【牛沢･キヨ】

今日も、あなたに呑まれて。 ページ42

「キヨはさ…。ずっと私に嘘ついてたの…？」



「うん…。俺って最低かな？」



「ううん。それでもいい。そういうずるいところもキヨらしいでしょ？」


「はは…なんだそれ。」



公園のベンチに腰をかけ、二人でぽつりぽつりと話をする。ふと横を見ると、どこか寂しそうな瞳をしている。でも、今ならその気持もわかる気がして。


「俺さ…ずっと辛かった。」


「Aのことこんなに好きなのに、なんでAは振り向いてくれないんだろうって」


「別に、だからと言って嘘ついたことを取り消したいんじゃないけど…その。」


「私のためを思ってしてくれたんでしょ？」


「…まあ、いいように捉えたら」


そういうと、またしばらく無言が続いた。
そうだ。まだ言ってないことがあったじゃないか。大切なことが。


「ねえ、キヨ。」


「なに？」



「ひとつ言い忘れてたことがある。」





.









.









.









.


「好きだよ」




そう言った私の目に、迷いなんてものはなくて。



「俺も。」



言い返すキヨも、また迷いはなかった。


手を重ね、互いに見つめあったあとゆっくりと口を重ねる。
初めてするわけでもないのに、なぜだか恥ずかしくて。

触れるだけの軽いキスなのに、それだけで心臓が飛び出しそうなほどドキドキする。



「…本当に。これでいいの？」


「なにが…？」



「俺なんか選んで、Aは幸せ？」




そんなの、答えはひとつしかない。




「幸せだよ。」




私の答えに満足したのか、キヨはもう1度私にキスをする。


お互いの気持ちを確かめるように。



もう、離れたりしないように。











キヨには私しかいないように、私にはキヨしかいない。









もう、キヨしか目に入らない。






.









.









だから。











.









.









今日も。







.









.









.










___今日も、あなたに呑まれて。___

あとがき。→←今日も。40。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す