【実況者】酒に呑まれて。【牛沢･キヨ】

今日も。36。 ページ37

キヨ視点。



「俺が！！俺の方がずっと前からAのこと好きだった！！」

「誰よりもAの事考えて、誰よりもAに尽くして！！なのに！！なのになんでうっしーが！！！」

「後から出てきたくせに！！全部！全部、全部、全部！！！！！なんでそーやって横取りすんの！？」


そこまで言い終えて、自分が涙を流してることに気づく。必死に拭いても、それが止まることはなくて。息は上がって、顔もぐちゃぐちゃ、それなのに俺の前で余裕かましたこいつが気に入らない。


「…横取りして幸せになるとか…ずるっこじゃん…」


ずるい。

なんで早くから気持ちに気づいてた俺が、こんなやつに負けるのか。

今はただ。目の前のこいつのこの表情を崩してやりたかった。前みたいに、また絶望させてやりたい。今すぐAのこと奪って、2度と視界にも入れられないようにして。

それが出来たらどんなに良かったか。



「ずるいのはお前だろ」


うっしーは依然として余裕振った顔をしてる。




「Aは俺を選んだんだ。さっさと帰れ。邪魔だ。」


そう言って荷物を投げつけられる。


ちがう。

そんなことない。


Aは俺の味方だ。


いつだって。


俺の隣にいて。


俺だけに笑ってくれて。




縋るようにAの方を見る。

きっと、Aはいやいやうっしーに付き合ってあげてるんだ。もうこんな奴のこと好きじゃないよね。だって、俺たちあの時、一緒にいるって約束したじゃん。


ねえ。


「っ…」


Aが俺から目をそらす。

やめてほしそうな顔で。






一気に自分が情けなくなって、勢いよく家から出た。

やっぱり。どう頑張っても俺は俺のままで。

Aに相手にされるわけもなくて。

そうだよ。俺だって卑怯だよ。

ずるだってした。でも、それは努力だ。



「なんで…あいつばっかり…」


努力も知らないようなあいつに、Aがとられるのが嫌で。


また涙が頬を伝った。

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