勘違い12。 ページ13
ゆっくりと私の方に歩み寄るレトルトくん。
「明らかにおかしいんよ。こうやって聞いてもすぐに否定しないし。」
1歩。
「それに、俺よくキヨ君から相談されるんやけどさ、Aちゃん、キヨくんにキスされそうになった時拒んだんやってな」
1歩。
「ずっと気づいてたよ。Aちゃんの笑顔が、“そういう意味”での笑顔じゃないことくらい。」
1歩。
「ほんまは好きなんかじゃないくせに。」
気がつけば私の目の前に立ちはだかっている。
「なんで…そんなことわかるの…」
レトルトくんは諦めたように笑う。
「好きだったから。」
「ずっとAちゃんのこと見てたから、笑顔が違うことくらいわかるよ」
「…え？」
「あくまでも前までの話ね。流石に、親友の彼女には手出したりしないから。」
乾いた笑いと一緒に、吐き出すようにそう言った。
私にはもう何も言えない。否定することも。嘘をつくことも。
いや。言えるじゃないか。
こんな関係続けてしまうくらいなら。もういっそのこと。バラしてしまえばいい。そしてあわよくばキヨくんにしっかり嫌われて。しっかり向こうに降ってもらおう。
「…Aちゃん？」
「そう…だよ。」
「っ…！」
レトルトくんは酷く驚いた顔をした。
「本当は告白された時に断ろうとしてた…。でも、勘違いされたんだもん。喜んでる人の前で、『今のは勘違いだから付き合えません』なんて、そっちの方が私は残酷だと思う。だから、キヨくんと付き合ってるの。」
「それって…」
「最低なことだよね。でも、もうどうしょうもないよ。嫌われるのを待つしかない。なんならレトルトくんが言ってくれていいよ？私は最低だった。それだけでキヨくんは何も悪くないことになるから。」
私がそこまで言い終えると、体育館のそばの木が揺れた。
誰かいる。
でも。
もうその人物は分かりきっている。
こんな時に出てくる人なんて、一人しかいないでしょ？
「出てきなよ…キヨくん」
悲しそうな顔。苦しそうな顔。
そんな顔、私だって見たくなかった。
「今の聞いてたよね…。だから私「知ってたよ」…え？」
「全部、知ってたよ」
「知ってても…好き、だったんだよ…」
「キヨくん…？」
「今までずっと勘違いしてたのは、Aの方。」
それだけ言うと、キヨくんは涙を一筋流し、この場を去っていった。
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みこト(プロフ) - とても面白いです！ でもキヨｓ達って北海道弁だったような…。違っていたらゴメンナサイ！！ (2018年2月6日 22時) (
レス) id: 14fb73bd4f (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか。(プロフ) - 百々さん» はじめましてー！こちらこそコメントありがとうございます！温かいお声掛けありがとうございます！これからも頑張ります！ (2017年10月2日 17時) (レス) id: 3b3ce5bb10 (このIDを非表示/違反報告)
百々 - はじめまして！コメント失礼します！とても素敵で一気に読ませていただきました!終わり方の雰囲気好きです‥！これからも応援しています！ (2017年10月1日 22時) (レス) id: 6f1fc7c20c (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか。(プロフ) - みんとさん» 初めまして！こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございます！！こういうコメントが励みになります！本当に、ありがとうございます！！！ (2017年9月28日 23時) (レス) id: 3b3ce5bb10 (このIDを非表示/違反報告)
みんと(プロフ) - 初めまして！素敵なお話読ませていただきました！仕事中に隠れて読んでいたつもりが大号泣で…！！最後まで一気に読み進めてしまいました！素晴らしい作品に出会えたことに感謝ですっ。ありがとうございます。他作品も是非まわらせていただきますね！！ (2017年9月28日 14時) (レス) id: 1c1ca7e1fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーか。 | 作成日時：2017年9月10日 0時
