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145話 ページ45

「一言言ってくれれば、すぐに消えたのに。」



と、私は笑みを浮かべながら言った。込み上げてくる自嘲を抑えきれなかった。



「だから違うっつってんだろ!」



続いて響いた大貴の怒号に、私の笑みは止まり、身体は跳ね上がった。



「何か気に障るようなことを言ったのなら悪かった、ごめん。だけど、勝手に決めつけて勘違いするのは止めてくれ。」



と、そう言った大貴の声は震えていた。途端に私は冷静さを取り戻した。単に私を心配してくれていた大貴の気持ちを、私は堂々と踏みにじったのだと。



「邪魔だなんて思っていない。増してや、消えてほしいだなんてこれっぽっちも思っていない。Aが独りぼっちになっていないか、寂しい思いをしていないか、ただ単に、それだけが気掛かりだったんだよ。」



大貴の声は弱々しく、今にも消えてしまいそうだった。



「じゃあ、もし私が独りぼっちで寂しい思いをしているって言ったら、大貴は私の隣にいてくれるの?」


「え...?」



ポツリと漏れた本心。それに対して、大貴は驚きを隠せないようだった。



「なんてね、嘘だよ嘘。こっちこそごめんね、いきなりあんな事言っちゃって。だけど、本当に心配は要らないよ。独りぼっちでもないし、寂しい思いもしていない。私は私で上手くやっていっているから。」



ようやく言えた本音。それさえも自らの嘘でかき消してしまう。もうどうしようもないのだと、実感させられる。私は嘘を吐くことしかできない。



「そっか...俺は、ちょっと寂しいかな。」



その言葉に、私の思考が停止する。



「Aといる時間が急激に減っちゃったからな。たまに、寂しく感じる時がある。」



と言って、大貴は照れくさそうに笑った。

やっぱり大貴はずるい。思っていることを好き放題に発言出来るのだから。そんなことを言われたら期待してしまう。一度は捨てた恋心。それを拾い上げることを許すような発言は、私にとって苦痛でしかない。拾い上げたところで、もう一度持ち直したところで、結局その恋は叶わないと分かっているのだから。



「いつでも会える距離にいるでしょ。」



だけどそれは物理的な話であって、心の距離は離れた場所にある。離れていなければならない。これ以上、大貴を好きになってはいけない。

だけど、だからといって、簡単に嫌いになれるものでもない。

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瑠璃瑚(プロフ) - ラベンダー畑さん» ラベンダー畑さん お久しぶりです!以前もコメントくださりましたよね、ありがとうございます!心を抉られるその感覚が伝わっているのであれば、この小説の主旨が伝わったということで嬉しいです。ありがとうございます!お互い、体調には気を付けましょうね(笑) (2018年7月22日 13時) (レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - 愛奈さん» 愛奈さん ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!もっと沢山の方に読んでいただけるよう精進します! (2018年7月22日 13時) (レス) id: 51c3decb4a (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 再開されてたんですね! とても 嬉しいです! 細かい所とか 覚えてないから また 読み直そうと 思います 大貴の鈍感さが 一つ一つ 心 抉られます 主人公 可哀想 でも 告る方が 楽になるんじゃないかな? 更新 楽しみです 猛暑のなか 体調 気をつけられて (2018年7月21日 19時) (レス) id: ffe5259ca3 (このIDを非表示/違反報告)
愛奈(プロフ) - このお話、とても好きです!なんで赤星ではないんだろう。もっと多くの人に見てもらいたい!更新頑張ってください! (2018年7月21日 16時) (レス) id: 6fc34b8758 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2017年5月29日 11時

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