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また変な噂が立つ。これ以上厄介なことに巻き込まれるのは御免だ。そんな思いが頭の中でぐるぐると渦巻く中、とある疑問が俺の思考の大部分を占める。


Aが俺に接吻をした。


時透が言ったその言葉が脳裏にこびりついて離れない。時透がAに教えたというその治療法。胡蝶も言っていたが、そんな出鱈目を果たしてAがそう易々と信じるものか?俺にはAと接吻をした記憶は無い。もし、仮に、万が一、Aが俺に接吻したのだとしたら、それは俺が眠っている間の出来事だったのだろうが…



「変な事を吹き込まれてんじゃねェよ。」



目の前で眠るAに向けて言い放つ。

ハァ、ハァ、と荒く苦しそうな呼吸を続けるAの容態が今朝よりも酷くなっているのは見るからに明らかで、発火してしまいそうな程に熱く上がった体温の異常さからもそれは明白だ。手元にあるは胡蝶から貰った風邪薬。Aのことを伝えると、胡蝶はAにと風邪薬を寄越した。



「熱で正常な判断が出来ないまま配合した薬を飲んで死にでもしてしまっては本末転倒ですので。」



と胡蝶は言っていたが、全くもってその通りで、しかもコイツはそれをやりかねない。こればかりは胡蝶に頭が上がらない。

Aの額に乗っている乾いたタオルを濡れたものと交換してやると、その冷たさに驚いたのかAの目が薄らと開かれた。



「師範…」

「悪りィ、起こしちまった。」

「いえ、お気になさらず…」



酷く掠れた声で喋るAに水の入った水筒を渡すと、Aは一言礼を言ってそれを受け取る。水を飲むと、喉が潤い少し落ち着いたのかAは大きな息を吐いた。



「随分と悪化してるみてェだなァ。」

「返す言葉もありません…」



ここまで症状が顕著に現れていちゃ威勢を張ることも諦めたのか、Aは今朝とは打って変わって随分と素直だ。いつもこれくらい素直だと…いや、それはそれで気持ち悪りィな。



「胡蝶から薬を貰った。これを飲んで安静にしておくんだなァ。」



俺から薬を受け取ると、Aは早々にそれを嚥下した。



「今夜は一晩看ててやる。何かして欲しいことはあるかィ。」

「だ、駄目です!師範も病み上がりなんですから!」



こういうところは相変わらずだ。



「煩ェ、こりゃ上官命令だ。早く言え。俺に出来ることは何だァ?」



と、問い詰めてやれば、弱る少女は口をもごつかせこう言った。



「頭を、撫でてはくれませんか?」



と。

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瑠璃瑚(プロフ) - 釈迦様さん» お恥ずかしい変換ミスです…作中一通り見直して訂正はしたのですが、まだ直っていない箇所が有ればご指摘頂きたいです。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» なんとお優しい、、ありがとうございます!>< (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦様 - 師範が市販…°。:(°ε°)ブフッ! (2020年2月17日 0時) (レス) id: bccea59c19 (このIDを非表示/違反報告)
しらとぅ(プロフ) - 瑠璃瑚さん» いえいえ!誰でもミスはありますよ!これからも頑張ってください! (2020年2月8日 20時) (レス) id: 785ac6cfee (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» ご指摘ありがとうございます!お恥ずかしい変換ミスをしてしまいました、、>< (2020年2月8日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2020年1月11日 14時

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