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Ep.6_大物ブローカー ページ8

そんなこんなで彼らは適当に、思うがままに七年間を生きてきた。



居候なんて関係は疾うに越えていて、最早家族みたいなものである。


居心地の良さは変わらずで、物事に特別頓着のないAは満足していたのだが、荼毘はどうやら違ったらしい。



長く家を開けることが多くなり、そうかと思えば焦げた匂いを揺蕩わせて帰ってくる。



目立った怪我をしている様子はないのだが、如何せんこの状況が続くのは心臓に悪い。


Aも、同居人が重傷や死体で帰ってこようものなら吐くくらいには彼を好きだった。



荼毘だって内心は右に同じはずなのだが今のところは復讐に取り憑かれている様子である。


いつか僕のこと巻き込んだりしないよね、なんて危惧していたAは、嬉しくないことに正しかった。




その日のAは、雨の降る中荼毘が差す傘の下で素知らぬ顔と対面していた。





ブリッジの細いサングラスをかけたその男は「義爛」と名乗った。

荼毘が言うには大物ブローカーらしいが胡散臭い。



「…ねえ小卒、騙されてない?」

「お前も義務教育受けてねえだろ」



おっとそれだと語弊がある。

二十歳も超えた今尚こんなAだがちゃんと小学校は卒業した。





「君も色々事情がありそうじゃない。取引先の顔くらい見てったらいい」



咥えていた煙草の煙をAに向けて吐いたソイツは、勧誘する気があるのかないのかまるで不鮮明。



焦らすように、飽くまでこちらの決断に委ねる聞き方。

基本的ではあるが、雨の降る屋外という会話の場の選定。



流石に"大物"らしい。





「おい、煙草(それ)やめろ」




相手の顔に煙草の煙を吹き掛ける意味、それを知ってか不機嫌さを隠さない荼毘。


俺のものだとでも言うようにAを自分側へ引き寄せた彼に対して、義爛はおやと思う。

誰にも従かなそうな男だと思っていたが、これは少し考えを改める必要があるかもしれない。

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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時

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