第200話「兄(弐)」夢主 ページ9
私は何時もの服に着替え終わると、寝台の上に座って覚えている限りのことを思い出してみる。
私は太宰さんと共にQの救出に向かって……。
それから、中也さんも来てらして。
無事にQを救出したけれど、組合の構成員は「異能ではない膨大な力」を使って、阻止しようとしてきて……。
私は、太宰さんに命じられてQを連れて、出来るだけ遠くへと逃げていた筈で。
「……そうだ、私、途中で膝をついて。」
Qは、無事逃げられたのだろうか。
私はそんなことを考えながら、ドアノブに手をかけ、扉を開こうとして、違和感に気が付く。
……爆弾か。
私は異能を展開し、そのまま扉を開ける。
すると、普通の人なら死ぬであろう威力の爆発が起こった。
「……殺す気だったのね、ソル。」
「……なんだ、気付いてたのかい、いろは。」
ふっと笑って異能を解いたソルを、私は睨みつける。
「……落ち着いて考えれば直ぐに気が付く出来の悪さだもの。そっくりだったのは、見た目だけ。」
「成程、次に演じる時は完璧にしてみせよう。」
「次なんて無いのよ、ソル。貴方は私に負けて、軍警に捕まって……組合に、捨てられるの。」
「……厭に現実的な事を云わないでくれよ、いろは。」
「知らない。だって、貴方はもう赤の他人なんだから。」
「……でも、君は女王だろう?」
「女王とて護る者は選ぶのよ。敵を護る訳が無いでしょう。」
私とソルは、瓦礫の上でお互い睨み合いながら相手の隙を探しあっていた。
相手に少しでも隙が生まれれば、直ぐにその隙を突けるように。
「……でも、驚いたな、いろは。……君が、兄殺しの罪を背負っていただなんて。」
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作者名:業猫 | 作成日時:2020年1月6日 15時