検索窓
今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:5,951 hit

第172話「女王とポートマフィア」夢主 ページ30

……あれから、1週間が経った。
私は、今回の件でまだまだ情報網が未熟で有る事を思い知り……単独行動をしながら、情報網の拡大の為に動いていた。

もっと広く、もっと深くせねばならない。
この街で、この国で、知りたいと思ったことは全て分かるくらいにまで。
私には太宰さん程の頭脳も、中也さん程の戦闘技術も……芥川さん程の異能の強さも、敦くん程の正義感も持ち合わせていない。

……ならば、私は情報を。
強欲に、全てを知る努力を。

其れが、きっと私の大切なものを護る武器になる筈だから。
……私は、彼の人のように完璧にはなれないけれど、きっと此れが最適解だから。

「……広津おじさん。如何して此処に?私は、貴方とは戦いたくないのだけれど……。」

私は後を付けて来ていた人物にそう云いながら足を止めると、ゆっくりと振り向いた。
広津おじさんが本気なら、此処まで隙を見せれば私の命は無いだろう。

……けれど、赤黒く染まった花が散る事は無かった。

私の瞳は、無事に広津おじさんの姿を映す。

「……首領からの伝言です。『マフィアに戻る気は無いかね?』とのこと。」

広津おじさんは、目を伏せたまま、そう云った。
私は驚いた顔から、微笑んでみせた。

「……太宰さんが、マフィアに戻るのならば。広津おじさんはよく知っているでしょう。私にとって、太宰さんが世界の理であり世界の存在理由であり、……全てなのです。私のあらゆる力は、全て太宰さんに捧げています故……太宰さんが戻る判断をしたのならば、私は再びマフィアの為に全力を尽くしましょう!」

私は両手をバッと開いた。
……狂気に塗りたくられた笑顔で。

一瞬の後、私は普段のように微笑んでみせたのだった。

「……ですから、森さんにこうお伝え下さい。私を利用して太宰さんを取り戻そうとするのは不可能です、と。」

第173話「愛すべき少年、護るべき__」夢主→←第171話「奇妙な人形」夢主



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。