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第162話「太宰治の恋心」太宰治 ページ20

数刻前、いろはから連絡が有り、敦君が攫われた可能性が極めて高いとの報告を受けた。恐らく犯人は組合。

予想通りだ。
未だ私の予想を超える出来事は起こって居ない。
きっと起こる事は無いのだろう、今は亡き友人の云う通り。

予想通り、と云えば敦君といろはの間の感情も関係も予想通りだ。
……そして、私が邪魔者になる事も。

一つだけ、私の願いを叶える方法が有る。

ずっと使えたけれど、如何しても一人の男として使いたくなかった手だ。
けれど、今使わねばいろはは自身の持っている感情に気が付き、完全に手遅れになってしまう。
そうなれば、私の願いは絶対に叶わない。

勿論私の願いは叶えたい。
何年も想って来た。当たり前だ。

……けれど、それ以上に「いろはにはいろはのことを優先してほしい」のだ。
いろはは、私を師とし、父の様に兄の様に、厭、それ以上に慕ってくれている。
故に、だろう。
いろはは自分の感情より、私の思考や感情を優先させる。
まるで、私が世界の全てだとでも云う様に。

……いろはは、いろはに価値を見出せていない。
自分を変えの効く道具位にしか思っていない。
思うのだ。
私では無理だ。無理だった。出来なかった。
けれど、敦君ならば……そんないろはを、変えられるのでは無いかと。

「……いろは、出ておいで。もう用事は済んだのかい?」
「バレてました?はい。鏡花ちゃんと面会出来ることになり……太宰さん?如何かされましたか?」

私は何時もの様に微笑みながら、葛藤していた。

言うなら、今だ。
命令すればいい。
たった一言。それだけ。
何時もの様に云えば善い。
突拍子の無い事も、いろはは命令ならば聞き届けてくれる。
……云えば善い。

けれど、口を開いて出てきた言葉は__

「……いろはは、本当に敦君の事が好きだね。」

そんな言葉だった。
いろはは少しぽかん…とした顔になると、少し恥ずかしそうに笑う。

「大切な人ですから。」

そう笑ったいろはの頭を、私は微笑みながら撫でる。
此れで善かったのだ。
いろはに、私は似合わない。
私の血は黒すぎる。

いろはは、本来血に染まる事はないような正義感に溢れた少女なのだから。

……此れで、善かったのだ。

「いろは好きだよ。」
「また急な……。私も、好きですよ。」

私という花が散った瞬間だった。

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設定キーワード:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時

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