第163話「妹のような」夢主 ページ21
薄暗く、長く居たいとはとてもじゃないが思わない。
そんな雰囲気の場所だ。
「……突き当りの個人牢に収牢されて居ます。……本当に善いんですか、一人で?危険では?」
「有難う御座います、安吾さん。……大丈夫ですよ。私を何だと思ってるんですか?」
心配そうに私にそう云う安吾さんに対し、私は少し呆れた声でそう云うと、安吾さんはぽかんとした顔になったあと、とても真面目な顔で一言云う度に指を一本折っていく。
「太宰君の為なら盲目で、真っ直ぐが
「ちょっ!まっ、待って下さい安吾さん!私そんな風に思われてるんですか!?え!?」
「はい。貴女は僕達
「三人」という単語に、私は動きを止める。
太宰さんと、安吾さんと、其れから…
「……いろはさん?」
私は、彼の人を、彼の人の事を……殺___
「いろはさん!……如何したんですか、急に。」
私の両肩を掴んでそう云った安吾さんは、心配そうな……私を気遣うような表情をしていた。
私は我に返ると、俯く。
「……何でも有りません。手、離してください。」
「でも___」
「離して下さい。」
私は睨むようにもう一度そう云うと、怯んだ様に手を離した安吾さんを背に、歩いていく。
申し訳ないとは思っている。有難いとも。
けれど……私は、人を選ばなくちゃいけない。
護れるだけの人数を。
護れない人は近づけてはならない。
私には、力が無いから。
二度と、彼の様に私のせいで殺しちゃいけないから。
私は、鏡花ちゃんが閉じ込められている牢の前まで来ると……足を止めた。
鏡花ちゃんからは、私によく似た匂いがしていた。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時