第161話「操り人形?」夢主 ページ19
「無論、取引ですから…此方からは、情報を売りましょう。」
「……情報?其れは、特務課にとって有益なものなのですか?」
「勿論です!内容は、ポートマフィアと取引している政治家のリストと、その証拠です。如何です?貴方達が手を焼いている問題でしょう?」
私は微笑むと、茶封筒をひらひらと見せつける。
特務課にも、一応友人は居る。
其の友人からの愚痴で仕入れた情報だ。
間違いは無いだろう。
「……善いでしょう。手配しておきます。」
「今日中にお願いします。急ぎの用事なのです。……最も、鏡花ちゃんは私にとっては如何でも善い。目的は鏡花ちゃんの知る情報なのだから。」
真剣な顔でそう云う私を、かなり驚いた様な顔で安吾さんは見詰める。
……それ程に意外だったのだろうか。
「……何の為に、其処まで?太宰君からの命令なのですか?」
「いえ、私の独断で行動しています。目的は、行方不明になっている敦くんの捜索。……大切な、人なので。」
そう云った私に、何が可笑しかったのか、安吾さんは笑い始める。
「あの、何がそんなに可笑しかったのです、安吾さん?」
「ははははは、厭、可笑しい訳では有りません。貴女が其処まで「人間らしく」なっているとは!僕の知る貴女は、太宰君の操り人形の様でしたからね!」
「操り人形……って……。酷くないですか、安吾さん!」
私は頬を膨らませる。
けれど、安吾さんは嬉しそうに笑い続けていた。
……そんなに、人形みたいだったのだろうか。
それはそれで結構ショックである。
第162話「太宰治の恋心」太宰治→←第160話「行方不明の虎」夢主
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時