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第125話「尋問(中編)」夢主 ページ33

太宰さんに続いて部屋に入ると、束縛する為のロープがついた寝床に、姐さまが寝ていた。
この程度なら、私でも解ける。
姐さまなら、確実に逃げ出せるだろう。

少しの間、太宰さんの代わりに見張りをしていたらしい事務員の男性は、私達が来たのに気が付くと、少し会釈すると、部屋から出て行った。

「…紅葉姐さま。」

私が、小さな声で名を呼んだ、その時…姐さまは、目を覚ました。

「……やぁ、姐さん。ご無沙汰。」

そう云った太宰さんを、姐さまは大きく目を見開く。

「……この程度の縛めで、私を紮げられると思うたか。」
真逆(まさか)。だから、私が見張りに。それに、いろはも居る。」
「……幾ら姐さまでも、ここから逃げ出すには見張りである私達を殺めるには相当の時間を要する。仮に私達が死んでも…此処は探偵社。直ぐに抑えられる。今度は、今ほど逃げ出しやすい場所に捕えられるとは限らない。…分かり、ますよね?」

その言葉を聞くと、姐さまは目を伏せ、視線を外した。

「……確かに久しいのう。裏切者どもよ。」

姐さまの言葉に、思わず目を見開く。

「組織の誰もが其方等の首を狙っておるぞ」
「はは、行列に並ぶように云わないと。」
「もう、太宰さんったら茶化して。…矢っ張り、優しく指導すべきだったかなぁ。」
「そういう事じゃあないが……。…(わっぱ)。鏡花は無事かえ。」

壁にもたれかかって、不貞腐れたように視線を外し、会話を聞いていた敦くんに、姐さまは静かに問いかける。
敦くんは、その言葉に…何とか抑えていたらしい怒りを、露わにする。

「彼女は…行方知れずだ。貴女の、所為だ。」
「くく…くくく…。くくくくくく…。」
「何が可笑しい!」

腕に虎化を掛けた敦くんの腕を、太宰さんが掴む。
私は異能を自分に掛けながら、敦くんの背後まで移動し、太宰さんが掴んだ方の腕とは逆の腕をぐっと押さえつける。

「彼女は私達に任せ給え。君は、外に。」
「太宰さん!」
「善いから。いろは、宜しく。」
「お任せ下さい、太宰さん。」

私は力を弱めると、不服そうな敦くんを扉の外まで連れて行く。

「……いろはちゃん。」
「大丈夫だから。…ね?少し、落ち着いて。国木田さんに指示を貰うと善い。こういう時の国木田さんは、凄く頼りになるから。」
「……うん。」

私は微笑みながらそう云うと、敦くんが戻ったのを確認し、部屋に戻ったのだった。

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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年7月10日 12時

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