第121話「電話」夢主 ページ29
「あ……いろは、姉さま……」
扉を開けると、それに気が付き振り返った鏡花ちゃんの顔は真っ青でその後ろには…
「…鏡花ちゃん。何したの?」
判事さんが倒れていた。
「脈は有る…失神してるだけ、か。……さて、話してくれる?」
「えっと……」
笑顔でそう云った私に、鏡花ちゃんは何かに怯えながら口を開いたのだった。
___
「……鏡花ちゃん。」
「……はい。」
「……貴女は探偵社員でマフィアの構成員じゃないの。分かる?」
「はい……。」
「次は社長に報告するからね。分かった?」
「……はい」
今回は見逃す判断をしたところ…私も、結構甘いのかもしれない。
話が終わり、私が鏡花ちゃんを叱っていた頃…ソファに寝かせられていた判事さんが目を覚まし、少し考えた後、状況を思い出したらしく、私達には大きな雷が落ちたのだった。
それからずっと落ち込んでいる鏡花ちゃんの為に、鏡花ちゃんを公園のベンチに座らせ、私と敦くんで励ますためにクレープを買おうとしている所だった。
「…顔、広いんだね。」
「え?」
「ほら…判事さんの秘書さんの…。…何もできない僕といろはちゃんは、天と地ほど違う。」
「……」
少し俯きながらそう云う敦くんの横顔を、私はただ見つめる。
「…敦くんの目には、私はどう映ってるの?優秀な先輩?それとも、ただの友人?それとも…」
私が言葉を続けようとした、その時…電話が鳴る。
…この
「…えっと、出ないの?」
「出る…出るよ。勿論。…席、外すね。」
私は、出来るだけ焦りとか不安とか、そういった感情を見せない様に、悟らせない様にしながら微笑むと、人気のない場所まで行き、かけなおす。
「…もしもし?」
『いろはさん…お久しぶりです。』
「銀ちゃん…。どうしたの?何か用?私、マフィアは一応抜けたんだけど…」
私は、電話の主…芥川銀に、そう云った。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年7月10日 12時