第119話「連絡の行き違い」夢主 ページ26
「……入れない?」
「許可が必要です。そこの手続書類に記入して受理まで待って下さい。」
「……私は探偵社員。これを届けに_」
「どのような件でも同じです。」
「……約束の時間が」
「規則ですから。」
ピシャリと云い放った警備員さんに、鏡花ちゃんが静かに殺意を向けているのを感じ取り…私は、冷や汗をだらだら掻いていたのだった。
「戻っといで、鏡花ちゃん。」
「…いろは姉さま、入れないって…。どうしよう。」
「どうも、連絡の行き違いみたいだ。あの警備員さんをどうにかしないと…」
「…え、消す?」
「ここで消したら大事になるし駄目。」
「ちょっ、いろはちゃん!?ともかく…探偵社はそう云う仕事の進め方はしません。」
敦くんの言葉に、鏡花ちゃんはサッと着物の裾を開け足を出しながら云う。
「私が教わったのは……まず色仕掛けで人目の無い場所に誘い込んでから、ぐさりと。」
「うん…善い悪い以前に、計画の最初に無理がある……。色気……?いろはちゃんなら兎も角……。」
「え、私のことそんな風に見てたの、敦くん?」
「えっ、いやそうじゃなくてね!?」
「…まぁそうして欲しいなら、敦くんの為にしてあげても良いけど?」
私がニヤリと笑いながらそう云うと、いろはちゃんは茶化さないで!と怒られてしまう。
…結構本気だったんだけどなぁ。
と、その時判事が目の前を通る。
「判事!」
…けれど、鏡花ちゃんが呼び止める声に気付かずその判事はそのまま通りすぎて行った。
「あちゃー…」
「……探偵社員は諦めない。」
「どうする?手詰まりだよね。」
「…思いついた。付いてきて。」
試すように云った私の言葉に、鏡花ちゃんは少し考えると建物から出て行った。
私たち二人は、?を浮かべながら取り敢えずついて行く事にしたのだった。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年7月10日 12時