第96話「これからは」夢主 ページ3
「はーい…って、え?」
「お早う、敦くん!」
「お、おは、よう…いろはちゃん…!」
「一緒に行こうと思って、迎えに来たの」
私がにこにことそう云うと、敦くんは寝間着姿のままぽかん…と私を見つめている。
「…いろは姉さま?」
「鏡花ちゃん。お早う!」
「…お早う御座います。」
「ちょ、ちょっと入って待ってて!」
私と鏡花ちゃんが挨拶していると、敦くんはそう云いながら慌てた様子で部屋の中に入っていく。
…と、鏡花ちゃんは私の手首を掴み、部屋に引きずって(?)いったのだった。
出してもらったお茶を飲みながら数分待っていると、着替え終わったらしい敦くんが、隣の部屋から出てくる。
「お、お待たせしました……」
「ううん、気にしないで。…じゃあ行こう!」
こうして一緒に行く事になった…のだが。
「…あ、忘れ物。」
「え?じゃあ一緒に戻る?」
「ううん、良い。…先、行ってて」
そう云うと途中で鏡花ちゃんは戻っていく。
…何故か私を見て、ぐっと親指を立てる。
何故……?
「…じゃあ、行こ?」
私がそう云い、いつも太宰さんにしている癖で腕に抱きつくと、敦くんはみるみる内に真っ赤になったのだった。
「え…!?あ、あの、いろはちゃ……」
「あっ、ごめん…!…厭だった?」
「いや、そうじゃ…無くて……その……」
もごもごと何かを云っていた敦くんは何か決めたらしく、私に向きなおる。
「…好い、いろはちゃん」
「なぁに?」
「“僕以外に”そういう事しちゃ駄目だよ」
「……?分かった、じゃあ敦くんにはしても良いの?」
「う、うん…まぁ…」
「じゃあ今まで太宰さんにしてたの以上にしてもいい?」
「え!?ま、まぁ、良い……けど………」
私がにこにことそう云うと、敦くんはまた真っ赤になっていたのだった。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年7月10日 12時