第109話「仕事の見学」夢主 ページ16
「…と、いう訳で暫く皆さんの仕事を付いて回ってやり方を学ぶことになりました。宜しくね、皆?」
「ソルさんとお仕事ですか!楽しそうです!」
にこやかにそう云うソルに、賢治君は目を輝かせてそう笑う。
一方、私はというと………呆れていた。
「何言ってるのやら…。ソル程呑み込みが早くて完璧な人物は居ないと云うのに。」
「いろは、ソル君の才能に妬いてるのかい?」
「…太宰さん。…そりゃあ、まぁ。幾ら部下でも才能有る人物は羨ましいですよ。」
私は目を伏せ、「人間ってそういうものでしょう?」と付け加える。
太宰さんは何故か愉しそうに笑っていた。
「今日はいろはと敦さんについて回る事になってるんだ。宜しくね、二人共?」
「え?嗚呼…うん、宜しく」
「そうなんだ…まぁ、僕が力になれるかは分からないけど頑張るよ」
ソルと挨拶(?)をしていると、鏡花ちゃんが敦くんのベルトを引っ張った。
「…私も、良い?」
「勿論だよ。ね、いろはちゃん?」
「うん。鏡花ちゃん、宜しくね」
私は今度は微笑んでそう云う。
…と、鏡花ちゃんは少し嬉しそうに目を細める。
敦くんはそれを微笑んで見ている。
一方ソルは、鏡花ちゃんとの差に苦笑いしていた。
「じゃあ、行ってきまーす!」
私達は笑ってそう云うと社のドアを開け、階段を降りていく。
今日のお仕事は、密輸の疑いがある組織の調査で、戦闘は有ったとしても対異能戦の可能性は極めて低く、難易度もそこまで高くない…筈だった。
「…!クレープ……」
「鏡花ちゃん、クレープ好きなの?じゃあ終わったらみんなで食べに行こうよ」
「……本当、いろは姉さま?」
「本当。」
私達は街を歩きながら、そんな会話をしていた。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年7月10日 12時