【文豪ストレイドッグス】もういちど。参【中島敦】 (ページ15)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:7,355 hit

第108話「圧倒的強者の姿」夢主ページ15

「それでは、私達は失礼するよ。」

そう優しく微笑むのは、見間違うはずもない、圧倒的強者の姿。
この街の闇を牛耳るポートマフィアの首領たる、森鴎外の姿だった。

「なんっ………!?」

「助言(アドバイス)有難う御座いました。…そういえばお医者さんなのですか？」
「元医者だよ。今は小さな寄合の仕切り屋中年さ。…少年。どんな困難な戦局でも、必ず理論的な最適解は有る。混乱して自棄(やけ)になりそうな時ほど、それを忘れては不可(いけ)ないよ。」

穏やかに敦くんと会話しているが、それが私には逆に恐ろしくなってくる。
手が、震える。
何故、あの人が………此処に………？

そんな私に気付いたエリス嬢は、にこやかに手を振っていた。
そして去っていくその姿に、何事も無く済んだと実感するのとほぼ同時に、息を止めていたことに気付く。

「っ………!?はっ…………、はぁっ………………！」
「いろは、だい…＿＿」

「……鏡花ちゃん？鏡花ちゃん!?如何したの!?」

敦くんのその心配そうな声に振り向くと、鏡花ちゃんが膝から崩れていた。

「……鏡花ちゃん、落ち、着いて……」
「いろはちゃんも……大丈夫!?」
「大っ、丈夫………。…ソル、話してくれる？全てを。…一体、何が有ったの…“彼女”の異能空間で。」
「…矢っ張りモンゴメリの事を知っていたんだね、いろは。…良いとも、勿論話そう。あの男性……ポートマフィア首領、森鴎外についても、ね」
「……ポート、マフィア!?」

ソルの言葉に、私は目を伏せ、何も答えず呼吸が荒い鏡花ちゃんの背中を撫で続ける。
一方、敦くんは…鏡花ちゃんを心配しながらも、ソルの言葉に目を見開いた。