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第140話「師からの久しぶりの命を。」夢主 ページ48

「……そう。」

私は電話を切ると、目を伏せて思考を巡らせる。

「……如何したんだい、いろは。ソル君からだったんだろう?」
「いえ……。……ナオミちゃん達事務員が、組合に狙われたらしく。」
「えぇ!なら早く助けに行かないと……__」
「でもね、敦くん。私達じゃ間に合わないの。だから、国木田さん達が救援自体はするらしいのだけど…私には、如何してもあの(・・)マフィアが何もせず傍観してるとは思えない。」

目を伏せたままそう答えた私に、敦くんが「いろはちゃん……。」と、静かに、少し此方を気遣う様に私の名を口にした、その時。
私の言葉を聞き、考えに耽っていた太宰さんは、キラキラとした瞳で私達を交互に見ると、それから口を開く。

「善い事思い付いたのだよ!いろは、かつての様な(・・・・・・)動きは出来るかい?……得意だったろう?気配を消す動きだ。」
「……?勿論出来ますが……。詰まり、太宰さんの護衛に徹せよ、という事ですか?」
「否。私だけじゃない。敦君も(・・・)だ。…出来るね?いろは。」

そう云った太宰さんは、いつになく真剣な表情で、私にそう云う。

その表情に、声色に、私はすっと笑みを仕舞ってしまう。
太宰さんからの命を実行できないなんて、部下として何年も共に任務や依頼をこなしてきた私が許さない。認めない。

私は、少し頷いて膝を折るとあの頃の様に真剣な表情で答える。

「勿論です。命令は、必ず実行致します。お任せ下さい……太宰さん。」

私の嘘のない、真っ直ぐなその言葉に、太宰さんは少し満足気に笑い、嬉しそうな声で答える。

「……嗚呼。期待しているよ。」

そんな私達を、敦くんは不思議そうに……否、怪しいものでも見るかの様な表情で見詰めていた。
私は、気付かない振りをして、嘗ての様に気配を消すと目を閉じて気配を探る。

「……敵は、殲滅する。」

飽く迄、探偵社のやり方で。

第141話「男と少年と少女と」→←第139話「罠に堕ちる」ソル



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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年7月10日 12時

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