第88話「人虎懸賞金の真実」夢主 ページ44
「おい太宰、早くマフィアに囚われた件の報告書を出せ。」
敦くんで遊んでいた太宰さんに、国木田さんは真面目な顔でそう云う。
太宰さんはというと……物凄く嫌そうな顔をしてらっしゃった。
と思うと、ぱぁあ!と素敵な笑顔になり、国木田さんに提案を投げかける。
「好い事考えた!国木田君、じゃんけんしない?」
「自分で書け。」
指を鳴らしながらそう云う太宰さんに、国木田さんは冷ややかな声でそう云い放つ。
……まぁごもっともなのだが。
「じゃあ……いろは!私の報告書もついでに……__」
「ご免なさい、私もう既に報告書提出してるんです。太宰さんご自身で書いて下さいね。」
私は笑顔でそう返すと、太宰さんは口を尖らせ、それから次は敦くんに頼む事にしたらしい。
「敦君、今日は君に報告書の書き方を教えようと思う。」
「こ……この流れでですか?」
私に助けを求めるような顔をしているが、私は気づかないふりをして仕事に戻る事にしようとした……のだが、私は太宰さんの次の一言に驚きを隠せなくなる。
「君にも関わる話だよ。君に懸賞金を懸けた黒幕の話だ」
「判ったんですか!?」
「……え!?それ本当ですか!?ソルですら知らなかったのに!」
私達がそう云うと、自分が秀でているのが嬉しかったらしく、太宰さんは満円の笑みになる。
「マフィアの通信記録に依ると……出資者は『
「実在するのか?
社長に呼び出されていたソル(多分また猫になっていたのだろう)は丁度帰ってきたらしく、
要はマフィアからすれば、ただただ邪魔な存在なのである。
「直接訊くしかないね。逢うのは難しいだろうけど、巧く相手の裏をかけば__」
国木田さんの言葉に「おっしゃる通りで」と同意していた敦くん達にそんな風に云いかけていた太宰さんだったが、慌てた様子の谷崎さんに遮られた。
「た、大変です!」
その時、窓の外からは物凄く煩い音が近づいてきているのが判った。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時