第89話「訪問者」夢主 ページ45
物凄く大きな音と共に道路に降りてきたのは……
「……ヘリ?まさか……__」
……そう、ヘリコプターである。
そう呟いたソルは、滅多にしない、明らかに嫌そうな顔をする。
「……先手を取られたね。」
そう云ったのは、苦笑いする太宰さんである。
……どうせこれも予想範囲内なんだろうに。
何て思っていると、社に彼らは入ってくる。
向かって左側にスーツを着た礼儀正しそうな男の人、右側にはボストンバックを持った、赤毛のそばかすの少女。
そして真ん中に居るのは白いスーツを着た、オールバックのトップらしき男の人。
社長の元に案内される三人とすれ違う瞬間……赤毛の少女が、私を見る。
「……。」
「…………。」
彼女の視線は、妬みや羨望といった感情が隠そうともせず、私に向けているのが判った。
「……どうしたの、いろはちゃん?」
「ううん……何でもない。」
敦くんにそう問われ、私は誤魔化すように、笑ってそう答える。
私は生まれながらの女王。
人々に愛され、愛すことを義務とした異能を身に宿す者。
それは例えば敦くんの様に、皆の目の敵にされてきた様な人からは、羨ましがれ、妬まれるのも日常茶飯事。
それは女王の宿命であり、また義務の一つだと私は認識している。
「……“ルーシー・モード・モンゴメリ”。
「……さぁね?」
私は、いつになく真剣な表情のソルに、いつものように微笑みながらそう答えた。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時