第87話「大事な仕事…?」夢主 ページ43
「あ、国木田さん。そういや報告書、送っておきましたよ。」
「嗚呼、確認した。返事が遅れて済まないな。何しろ昨日は……__」
「ソルの入社試験……ですよね?大丈夫ですよ、何となく分かってましたし。……勿論、それをわざと私達に伝えなかったことも。」
「……悪いな、暁。」
私が笑ってそう云うと、国木田さんは申し訳なさそうに謝る。
生真面目だなぁ……まぁ、だからこそ国木田さんな訳だけれど。
私が事務仕事に戻ろうとしたその時、息を切らした敦くんは凄いスピードで太宰さんの前に着くなり、叫んだ。
「同棲なんて聞いてませんよ!」
数秒後、鏡花ちゃんは涼しい顔で(というか表情が無いだけなのだが)敦くんの後ろにつく。
「お早う、鏡花ちゃん。」
「……お早う御座います、いろは姉さま。」
姉さま呼びはやめて欲しいのだが……まぁ良いだろう、別に厭という訳では無いし。
私と鏡花ちゃんが挨拶をしているすぐ隣で、太宰さんは「部屋が足りなくてねぇ。」等と笑っていた。
「それに、新入り二人には家賃折半が財布に優しい。ねぇ、いろは?それで私達も同居してるもんね?」
「そうですね、まぁ今は主に太宰さん直ぐ自i殺して財布無くして生きていけなくなるから私が監視してるだけなんですけど。」
「餓死は苦しくて厭だからね。有難いよ。」
そんな会話を始める私達に、敦くんは「しかし__」と不満の意を伝えようとした……が。
「彼女は同意しているよ。ねぇ?」
「……指示なら。」
真顔でそう云い放った鏡花ちゃんを、敦くんは凄い顔でじっと見つめている。
……厭なのがよく分かる。
「判らないかい、敦君。マフィアを追われ縁者もない彼女は沼の中のように孤独だ。それに、裏切者を処す為、組織の刺客が来るやもしれない。独り暮らしは危険だよ。」
ひそひそとそんな事を言い出す太宰さんに、敦くんは「た……確かに。」と、納得してしまう。
「君が守るんだ。大事な仕事だよ!」
「判りました!頑張ります!」
「太宰さん、敦くんで遊ばないで下さい……。」
私は苦笑いしてそう云ったのだった。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時