第82話「部下や妹としてじゃなく」夢主 ページ38
そういう訳で、基本は太宰さん、時々ソルにも手伝ってもらいながら女王を少しずつ支配する練習をすることになった……のだが。
「うぅ……気持ち悪い……。」
「もう、だから云ったじゃないですか、飲み過ぎだって……。」
「だってぇ〜……。」
ソルにも手伝って貰いながら太宰さんを家まで連れ帰ったのは良かったのだが……太宰さん、完璧に酔い潰れてます。
どうしよう……。
「……いろは。」
「はい？何ですか、太宰さん。」
「……茶漬けが食べたい。」
「良いですけど……ちょっと待っててくださいね。」
あんなに蟹食べてたのに……と思いながら、即席のお茶漬けを机に出すが、太宰さんは何故かこちらを見つめたままである。
……厭な予感がした。
「……あの、どうぞ？」
「私のいろは。」
「はい？」
「……食べさせてくれ！」
見事に私の予感は的中し、太宰さんはキラキラとした瞳で私を見つめてくる。
……太宰さん、酔っているからなのか、素直に凄く甘えてくる太宰さんが少し新鮮である。
「……分かりました。」
「え、本当？嬉しいなぁ。あーん。」
私は子犬の様に甘え、美味しそうに平らげていく太宰さんを少し微笑みながら食べさせていく。
「ご馳走様、いろは。」
「はい、お粗末様でした……って寝てる。」
すやすやと眠りだした太宰さんに半分呆れながらも、私はくすくすと笑って食器を片付け、太宰さんの布団を敷く。
「……太宰さん、起きて下さい。布団敷きましたから寝室に……って、わ!?」
私が太宰さんを起こそうと近づくと、寝ぼけているらしい太宰さんは私を抱きしめた。
「……太宰さん、お酒臭いです。」
「いろは……私、いろはのこと好きだよ。愛してる。」
「私もですよ。……どうしたんですか、太宰さん。」
「……違う。私といろは「愛してる」は違うのだよ……。私は……いろはの、こと……部下や妹としてじゃなく……＿＿」
太宰さんはそこまで云うと、一気に眠気が覚めたらしく真っ青になった。
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作者名：業猫 | 作成日時：2019年6月13日 11時
