第72話「無意識で」夢主 ページ25
「防犯カメラの解析と並行し、データベースから人物及び組織の特定を!早急にしなさい!もし三十分以内に特定できなかった場合は、この場に居る全員を始末の対象にします!」
私はそう命を下し、そして黒蜥蜴を束ねる百人長である、広津おじさんに電話をかける。
「……もしもし、広津おじさん?これは暁いろはとしてのお願いなのだけれど……芥川さんの居場所等を特定出来次第、一葉ちゃんに伝える算段なのだけど良かったら、助けてあげてくれない?」
『もしもし……いろはか。……ふむ、良いだろう。孫の様に愛でているいろはの願いだ。広津柳浪として、その願い……聞き入れよう。』
「有難う、広津おじさん。この恩は……いつか、必ず。」
私はそう伝えると、電話を切り、部下たちが文字通り死に物狂いで特定を急ぐ様子を監視することにする。
すると数分後……一人が、声を挙げた。
「暁準幹部!特定完了しました!このまま樋口さんに転送します……!」
「よく頑張ってくれた!後日この場に居る全員に褒美が与えられる様に手配する!……有難う、皆。」
私は普段、部下たちに見せている厳しい表情から、ふっ……と優しく微笑んで見せる。
……と、険しい顔をしていた部下たちは、そろってぽかん……と呆気に取られたような表情で私を見つめた。
「え、えっと……?何かついてる?それとも、何かおかしなこと云った?兎も角……終わったんだよね?じゃあ解散!」
「……やぁ、いろは。何というか……無意識でやるなんて、魔性の女って感じだね。勿論、善い意味で。」
「ソル。……何のことを云ってるの?」
私を迎えに来たソルに何故か呆れられながらも私の手を取り、エスコートしてくれる。
「まぁ善いよ、いろは。それよりちゃんと褒美の準備をすることにしよう。僕も手伝うよ。」
「……そうだね、そうしよう。」
うやむやにされた気もするが……正直どうでも良いので、芥川さんのことは一葉ちゃん達を信じて任せる事にし、少し早いが私達は後始末に取り掛かったのだった。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時