第52話「女王の威圧」夢主 ページ3
混乱のさなか、突如現れた
「……良い？聞いて。私達は武装探偵社。依頼を受けたからには確実に貴方たちを家に返します。……それが、私の……女王の役目だから。その為には、貴方たちを戦いに巻き込まないことが重要です。……なので、真ん中の車両に集まりなさい！生きたいのなら、帰りたいのなら！」
私が宣言すると、少しの沈黙のあと……乗客達はざわつき始める。
ある人は希望に魅せられて。ある人は疑心暗鬼に。
また、ある人は……女王の威圧に耐えかねて。
「……救われたいのなら、私に頼って。周りに、見える範囲に居て。そうしたら護ってあげられるから。」
私が優しく微笑むのとほぼ同時に……乗客の一人がこちらへ近寄ってきた。
「……どんな異能なのかい？見た感じ……それを操るようなのだと思うんだけど。」
他の乗客の視線と共に前に出てきたその青年は、私のすぐ後ろに佇む女王をちらりと横目で見ながらそう云った。
「嗚呼、それは確かに説明しておくべきだね……、ご指摘有難う。其れで、私の異能だけど……守ることを得意とする異能なの。……とはいえ、見えない場所は護れないからね。集まって欲しいのはそれが理由。」
……だから、本来こんな立地は不向きなのである。
細長で、視界が狭く、その上特別高い場所が無い。
詰まる所、相性最悪なのだ。
……けれど、それでもやらなくちゃいけない。
其れが私の愛するこの街……ヨコハマの住民たちを護る為なのだから。
私が決意を再び強固なものへとし、拳を強く握ったその時のこと……前方から、爆発音が聞こえた。
その爆発音に、漸く落ち着きだしていた乗客たちは再び騒ぎ始めてしまったのだった。
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作者名：業猫 | 作成日時：2019年6月13日 11時
