第51話「車内アナウンス」夢主 ページ2
突然聞こえてきた、聞いたことの有るその声は、楽し気に語る。
『題目は『非慣性系における爆轟反応及び官能評価』っ!被験者はお乗り合わせの皆様!ご協力、まァ〜〜〜〜〜っことに感謝!……では、早速ですがぁ、これをお聞きくださぁ〜〜〜い。』
その時、車両の前方から爆破音が聞こえてくる。
……今のは、一体。
「「「!」」」
『今ので2、3人は死んだかなぁ〜?でも次はこんなモンじゃありません!皆様が月まで飛べる量の爆弾が先頭と最後尾に仕掛けられておりまぁ〜〜す!さてさて、被験者代表、敦くん!君が首を差し出さないと、乗客全員天国に行っちゃうぞぉ〜〜〜?』
そのむかつく声は……嗚呼、思い出した。
檸檬爆弾魔の、梶井基次郎である。
マフィア時代の私に、しょっちゅう爆破を仕掛けてきた阿呆だ。
最近は顔を合わせていないから声を忘れていた。
……いい機会だから、一発殴りに行くか?
「な……!」
「云った傍から御出ましってワケだ……!」
「ど、どうしましょう!?」
「一、大人しく捕まる。二、疾駆する列車から乗客数十人と飛び降りて脱出。……三。」
「連中を…ぶっ飛ばす?」
そう云った敦くんに、与謝野姉さまは満足げに微笑む。
「何しろ妾らは武装探偵社だからねぇ。」
「オイ、貴様ら武装探偵社なのか!?何とかしろっ!」
そう怒鳴り散らしてくるのは、さっきのおじさんである。
……エネルギッシュだね。そんなに怒って疲れないのかな?
何て思いながら、私は与謝野姉さまにボコボコにされているおじさんを眺めていた。
「さて敦、いろは。手分けして爆弾の解除と乗客の避難をするよ。妾は前の爆弾、敦は後部、いろはは乗客を真ん中に集めて落ち着かせるんだ。」
「……もし、敵がいたら?」
恐々といった様子でそう問いかけた敦くんに、与謝野姉さまはニヤリと笑って答える。
「ぶっ殺せ!」
私は疑似的な女王を作り出し……混乱する乗客の注目を集めた。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時