第92話「対価は」夢主 ページ49
「……そうね、聞いてみるだけでも良いのなら聞かせて頂くわ。」
「勿論!……私、マフィアと探偵社の異能の情報を多分この国で一番よく知ってるの。……どう、情報を買う気は?」
「……“情報を制すものが戦を制す”ね……。フィッツジェラルドさんに相談してみなくちゃ返事は出来ないわ。……けれど、私達は恐らく貴女の提案に乗ることになるでしょうね。……で、もし取引する事になった場合……貴女は幾らで売ってくれるの?」
そう云うモンゴメリに、私は微笑みながら答える。
「お金は要らない。……私は対価として
「……何ですって?そんなの、受け入れる訳が__」
私を馬鹿にした様にそう云いかけたモンゴメリに、私は静かに本音を、本心を伝える。
「私はね、モンゴメリ。探偵社が負けようとマフィアが消えようと、はたまた
「……それは、まぁ、そうなのだけど__」
私の言葉に圧倒されたらしいモンゴメリは、もごもごとお茶を濁す。
「……返答は今じゃなくて結構。私、ひとまずここでの話は“探偵社には”報告しない。もし私が報告すれば、私も向こう側に捕えればいい。……異能を解いて、私を開放して。返事が決まればまたここに呼べばいい。……それで決まりで良い?」
「……えぇ、報告しないのならそれで構わないわ。」
モンゴメリはそう云うと異能を解き、私はモンゴメリに出会う直前に立っていた位置に戻っている。
「……かかった。」
……約束通り、私は探偵社には、報告しない。
けれど……“誰にも云わない”とは云ってないのだ。
__大収穫である。
第93話「太宰さんと…」中島敦→←番外編「潜入(マフィア時代)」夢主
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時