第91話「取引(対モンゴメリ・M・ルーシー)」夢主 ページ47
「……答える前に質問しても?」
「えぇ。私に答えられることなら答えてあげても良くってよ?全ての質問に答えるという訳では無いけれど。」
「……そう。じゃあ先ず先に、本当に賢治君……麦わら帽子の子、向こうに居るの?」
私がそう云うと、勿論、とモンゴメリは頷く。
「そうね、疑問に思うのも仕方がないわ。じゃあ……扉の窓から確認してみるのは如何?」
モンゴメリの提案通りに、彼女が指さした扉の窓を覗くと、そこには頭を垂れた賢治君が居た。
「……!」
「どう?これで信じてもらえたかしら?さて、他に質問は?」
「……こっちの扉に賢治君が居るのは分かった。じゃあ……向こうの扉は何?」
「嗚呼、その説明を忘れていたわね!」
モンゴメリはそう云い、にっこりと笑う。
「向こうの扉は外に繋がっているの。……嗚呼、この部屋から出るとここの事は忘れてしまうわ。だからお仲間を呼ぶのは無理ね。」
出口だと云う扉の向こうは、時間が止まった様に動かない。
……成程、異能空間か。
ならば、彼女の言葉は嘘じゃない可能性……真実である可能性が高い。
というよりも、言葉の真偽を確かめるにはリスクが高すぎるのだ。
「……鬼ごっこの、私の勝利条件は?」
「あら、物凄く簡単よ。この鍵を使って、アンから逃げながらこの扉を開けられたら、貴女の勝ち。貴女がアンに捕まったら私の勝ちで、この扉の向こうに入ってもらう事になるわ。……さて、もうそろそろ始めたいのだけど……__」
そう云うモンゴメリに、私は思考を巡らせる。
……よし。
「決めた。取引をしない?モンゴメリ」
「……取引ですって?」
私の言葉に、モンゴメリは驚いた様な表情になる。
……主導権は私に移された。
後は取引に応じさせる為に罠に嵌めていく作業になる。
工程は違えど……似たような事はマフィアで、何度もしてきた。
……大丈夫、絶対に成功させる。
「貴女達
私はそう云い……微笑んだ。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時