第85話「ソルの入社試験(二次)中編」アグラソル ページ41
「やぁ、君が誘拐犯かな?」
「だっ……誰だ!近寄るな……近づいたら、この子と一緒に死ぬからね……!」
そう云う明るい茶髪の青年は長い黒髪の少女の体に巻き付けられた爆弾を指さす。
青年の手には、爆弾の起爆スイッチが握られていた。
「ん〜〜!ん〜〜〜!!」
少女の表情は、恐怖の色で染まっている。
其れもそうだろう……何しろ、ただの事務員なのだから。
「……ふむ、
「ぱーてぃー……?ふざけてるの、君……!先に殺しちゃおうか……!?」
「死の恐怖も面白そうだが……生憎、恩を返せていないのでね。
……異能力、「泡沫の夢」
死のお誘いは丁重にお断りさせて頂こう。」
僕の姿は、あっという間にいろはの姿へと変わる。
直ぐに少女の体に沿って異能の展開を開始した。
それを悟らせないよう、少しずつ近づく。
「……勝負をしよう、青年。単純な戦いだよ。僕を君が殺すことができるかどうか。僕が死ねば、誰も君の事を止める人は居ないからね。」
「……良いよ、先に邪魔な君を殺してあげよう……!」
青年は僕の提案に乗り、僕は既に賭けに勝った。
勝利も同然。
先程からの体の運び方等から推測するに、武術を嗜んではいても秀でてはいない。
基本的に異能を使わずマフィアの仕事をしてきた僕にとっては赤子の手を捻る様なものである。
……但し、気は絶対に抜かない。
油断は禁物。失敗に繋がり、それは敗北を意味する。
「失敗出来ないっていうのも、結構面白いね……マフィアとは違って新鮮だ!」
僕は思わず、笑みが零れた。
……世界はまだまだ、僕の知らないもので溢れている。
「何で笑ってるのさ……!殺す……殺してやる……!」
青年と僕の
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時