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第50話「女らしく」夢主 ページ1

「……五月蠅い!女の癖に儂を誰だと思ってる!」
「……おじさん、ちょっと歯ァ食いしばりな。」

与謝野姉さまの顔を蹴ったおじさんに、私は中也さんに教え込まれた、最も素手でダメージを与えられる蹴りの構えをする。

「黙れ!貴様らの勤め先など、電話一本で潰して__」
「……女の癖に?」

私の蹴りが綺麗に決まったのとほぼ同時に、与謝野姉さまはおじさんの指の骨を折った。

「そいつは恐れ入ったねェ。女らしくアンタの貧相な××を踏みつぶして××してやろうか?」
「……何て云ったんですか?与謝野姉さま。」
「……知らなくていい事だよ。」

ちゃんと聞き取れなかった私は説明を求めたが、与謝野姉さまに誤魔化されてしまう。
……まぁ、別に善いだろう。

こうして、ゾッとした表情のおじさんを残したまま、私達は敦くんと目配せして電車に乗ったのだった。

「済みません、さっきは。」
「気にするこたァないよ。……ところでさ。アンタ、マフィアに脚を喰い千切られたそうじゃないか。」
「……ああ。」

与謝野姉さまの言葉に、敦くんは表情を曇らせている。
……と。

与謝野姉さまはベロッとズボンを捲って、何やら観察しだした。
……因みに、膝の辺りを撫でられた敦くんはくすぐったかったらしく、大笑いしていた。

「あ、あの、何か問題でも?」
「……別に。妾が治療出来なくて残念だッて話さ。……でも、次はないよ。」
「……え?」
「前回は正面から探偵社(ウチ)に突っ込んで自滅したけど、元来マフィアってのは奇襲夜討ちが本分だ。夜道にゃ気ィつけるんだね。何時どこで襲ってくるか知れないよ」
「……私も昨日みたいに護ってあげるけど、ずっと一緒って訳にはいかないしね。」
「……昨日?」
「はい。一緒に出掛けたんですけど……マフィアが襲ってきて。」
「ふぅん。人気者だねェ。」

敦くんが真剣な表情で何やら考え始めたその時、車内アナウンスが聞こえてきた。

『あァ〜〜〜、こちら車掌室ゥ。誠に勝手ながらぁ?唯今よりささやかな『物理学実験』を行いまぁす!』

この、声は……________

第51話「車内アナウンス」夢主→



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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時

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