第47話「女王対人虎」中島敦 ページ48
「……ぁ、ぁあ、あああああ!」
外に出た瞬間、いろはちゃんのそんな悲痛な叫び声が聞こえてきた。
僕は嫌な予感がして、慌てて太宰さん達が住む部屋のドアノブに手を掛ける……と、鍵が掛かってなかったらしく、扉が開く。
……可笑しい。
いろはちゃんも、普段はだらしない太宰さんも……こう云う事は確りとしていた筈である。
僕はそんなことを考えつつ、いろはちゃんの名前を呼びながら彼女の姿を探す。
奥の所謂リビングに入ると、そこには……目から光を無くしたいろはちゃんと、その後ろに佇む、大きな影が、其処に居た。
その大きな影はいろはちゃんを守る様に抱きしめながら…僕を、睨みつけている。
「……いろはちゃん?いろはちゃん!」
「……クルナ。」
僕の声に反応した大きな影……否、女王と呼ぶのが相応しい“それ”はもし心があるならば、敵対心をむき出しにした様な顔で……僕に攻撃を仕掛けてくる。
そこまで、早くはない。
避けられるし見えるくらいだ。
此れなら芥川の方が早いだろう。
「(……だけど、助けを呼ぶのは無理だな。避けられるけど避けるので精一杯だ。隙を見て攻撃を仕掛けないと……。)」
そう考え、女王の攻撃を避け、攻撃を仕掛けようとしたその瞬間……いろはちゃんの顔に一瞬、光が戻り、ぽつりとつぶやくと……倒れこんだ。
「ぁ……だざ、い、さ……ん……。」
「いろはちゃん!?いろはちゃん、いろはちゃん……!」
僕は倒れこんだいろはちゃんの名を、必死になって呼ぶ。
いろはちゃんは……いつも身に着けている瑠璃色の宝石が付いたペンダントをしっかりと持ったまま、まるで死んでしまった様に……目を固く閉じていた。
そんな彼女に、僕は心の中が不安で溢れていく。
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時