- XVI - ページ17
ーあっとくんが死んでから、2か月が経った。
俺はその間、どんなふうに生きていたのかわからない。思い出せない。
…あれから、笑うことも、泣くことも、怒ることも、喜ぶことも、愛することも、すべて忘れた。
感情を、失った。どこかに、消えてしまった。
何も、したくなかった。
まぜたんがくれた連絡さえ、既読を付けず、返信もしていない。
花を上げに行く約束も、果たせていなかった。
Tg「……あっとくん…」
あっとくんがいない世界なんて、俺には居場所なんてものなかった。
それだけ、自分があっとくんを中心として生きていたか、思い知らされる。
Tg「ッ…」
あの光景が、フラッシュバックする。
あの時聞こえていた雑音すべて、鮮明に流れてくる。
蝉の音
静かに聞こえる、波の
カン、カン、カン、カン
踏切の音
そして、サイレンの音
思い出したくなかった。
何も、考えたくなかった。
あっとくんが死んでから1か月経ったくらいから、俺はこの踏切に通っている。
赤色狼と、ちぐさ色ペンギンのキーホルダーを持って。
ここに来れば、あっとくんに会えるんじゃないか。
そう、思って。願って。
Tg「…(俺に取り付いて、呪い殺してくれよッ…)」
なんて、現実味がないことばかり考えていた。
そして、今日もあの踏切へ来ていた。
Tg「…いつきても、変わらないなぁ…」
「ときみ」と書かれた看板。
蝉の
波の音。
俺は、踏切に近付いた。
俺が、頭を上に向けた。
Tg「ーッ!?」
そこには
At「………」
透明なあっとくんが、俺を指さしていた。
白い肌が、さらに白くなっている。
足元に、影はない。
Tg「ぇ…あっと、くん…?あっとくんッ!!」
At「……」
あっとくんは、何も言わない。
これは、現実?それとも、願いが生じた幻?
At「…………ん……」
Tg「ぇっ?」
久しぶりに聞いた、あっとくんの声。
でもそれは、目の前にいるあっとくんの声と言うよりも、脳内で再生されたような声だった。
At「……か、び…ん……」
Tg「……花瓶………」
あっとくんが腕を下ろし、こっちを見て前を向いた時。
あの光景をフラッシュバックするような音が聞こえてきた。
カン、カン、カン、カン
目の前で遮断機が下がる。
電車が来るんだ。
Tg「あっとくんッ!!」
また、あっとくんがはねられる。
あっとくんが亡くなってから声を出すことがほとんどなくなった俺の声は
想像以上に声が出た。
電車は止まることなく、通り過ぎ…
電車が来なくなった踏切を見ると、あっとくんはもういなかった。
Tg「…あっと、くん…」
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yuyu📢💚@占ツクで活動中! - 雨萩さくりさん» 来世はきっと幸せになれるよ!! (2月14日 8時) (レス) id: 4772fdfbf8 (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - イベントに参加してくれてありがとう!ハッピーエンドともバットエンドともとれるお話の作り方で、凄く面白かった!!来世では幸せになってほしいな。 (2月12日 22時) (レス) @page24 id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
yuyu💭□🖌@占ツクで活動中! - 444_666さん» おけおけww (2月2日 21時) (レス) id: 733a68748c (このIDを非表示/違反報告)
444_666 - yuyu💭□🖌@占ツクで活動中!さん» 笑笑笑 2人部屋 行こ 笑 部活 の 話 !! って いう の 作った から ( 文字数 的 に ) (2月2日 20時) (レス) id: 2e187ccf2f (このIDを非表示/違反報告)
yuyu💭□🖌@占ツクで活動中! - 444_666さん» ごめんなさぁい!おかぁさぁぁん!((……あ、お母さんはぷりちゃんか…()二人部屋あるのにコメントで会話する二人組★そのなも!ゆ〜&よ〜!()そのまんまで草() (2月2日 19時) (レス) id: 733a68748c (このIDを非表示/違反報告)
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