the firebird ページ22
下を見ると、壁を上ろうと必死にへばりついてる...ように見える何体もの巨人。
あれを仕留める...どんな無茶振りだよ。あそこまで何メートルあるんだろ...
ただ司令からの頼み...いや、ほとんど命令なんだから、やらなきゃ。
「やってみます」
そういや、他の人の前で弓を使うなんて、あの日以来か...5年ぶりだな。鈍ってないといいけど。
弓を構え、矢をつがえる。
普通に飛ばしたらあそこの群れになんて当たりっこない。風とかにあおられて検討違いの方向に落ちるのが関の山だ。
だから余計に神経を使う。矢が狙った方向に飛ぶように、矢に纏わせた炎をコントロールしていかなきゃならない。
ただ、炎の扱いにくさはは離れている距離と比例する。術者の手から遠ければ遠いほど、操作は格段に難しくなる。
司令、それにエレン、ミカサ、アルミンも見ている。失敗したくない。
...いや、まぁ大丈夫か。
私はきっとこのために生まれてきた。大丈夫、昔あんなに練習したじゃないか。
.
何かを殺すときは、一息で殺す。
二呼吸以上すると決心が鈍って、それ以降呼吸をすればするほど照準がぶれていくから。
ぎゅっと弓を引き絞る。
すぅっと息を吸う。
静かに手を放す。
それはまるで火の鳥のようにまっすぐ巨人の群れに飛んでいき、一瞬で巨人たちは炎の中に消えていった。
あとに残されたのは、ここまでくる肉の焦げた匂いと、黒い焦げあとだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：悠にゃん | 作成日時：2018年7月10日 20時
