【ATO】彼らの見つめる先には【短編】 (ページ1)

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空との境界線 (リヴァイ:日常) ページ1

鳥が飛び立つ音がして咄嗟に窓外に視線をやった。

あれはなんの鳥だろうか。詳しくないので分からないが、手首から肘ほどの体長だろうか、その位の大きさの鳥が、大空に向かって羽ばたいたのが見えた。

白い羽が2日ぶりに顔を見せた青空によく映える。

文字を書く手を止め、机上にペンを置いて窓に向かう。そういえば先程コーヒーを入れるために席を立ってからどのくらい経ったのだろうか、腰の骨が音を立てて、小さく唸りながらそんなことを考えた。エレンが草むしりをさせられているということはお昼前か…

窓枠に手をかけて鍵を外すと、窓が開くのと同時に風が部屋へと入り込んできた。

「あー…気持ちいい」

息を大きく吸い込むと、先程まで丸まっていた背中が伸び、肺の中の空気が入れ替わって頭がとてもすっきりする。今ならつまらない事務作業もいつもの半分のスピードで終えられそうだ…と机に向かったところでものの数十分でまた目蓋が閉じ始めるのは目に見えているのだが。

数分そうしていると、何やら見知った声が耳に届いてきた。

「この声は…リヴァイ！」

すると、ピタッと足音が止まり、そしてまたこちらに向かってくる音が。

ちょうど兵舎の角に位置する私の部屋からはまだ姿が見えない、と思ったのと同時にリヴァイが姿を現した。

「何してんだてめえ…A」

「何してるって、休憩？という名のサボり？、いててて、うそうそごめん冗談だって」

こめかみにヒットするリヴァイの拳を受けながら謝ると、案外すぐに手をどけてくれた。

「そっちこそ何を？」

「…俺は視察だ」

「何よ今の間。嘘つき、リヴァイもサボってたんでしょ、いたいいたいいたい」

と、またしても子供が叱られるようにされるがまましていると、エレンがこちらに駆け寄ってくるのが見えた。

「リヴァイ兵長！、と、Aさん？何してるんですか」

口に当てた巾着をずらしながらエレンが驚いた顔で問う。

「ハーイ、エレン。お掃除お疲れ様。大変ねこんな仕事任されて。」

「新兵の仕事だ…。嫌ならハンジの手伝いを任せるが」

「お断りします」

エレンが本気で嫌がるのが面白くて、自然と笑顔になった。

そこに通りかかったハンジが、「仲睦まじいねえ恋人さんたち！」とエレンに私達の関係を暴露するのはもう少し後の話です。