ワインの右腕と呼ばれた人間2【fell swap gold】

異論 ページ49

やはりワインは上に立つカリスマとセンスがあるのだろう
先程までの不安感はたち消え、かわりにやる気が感じられた

「さて、やる気も出てきた所で作戦の開示といこう。まず我々は精鋭、しかし数の暴力でやられてしまう可能性は充分ある。よって戦力は分散する。一人でいると流石に不安であるゆえ普段の訓練中相対している相手と組み、この戦場を乗り切ってもらう。」

「え"！？」

そこで私は初めてワインに異を唱えたくなった
だって、だってその作戦だと私は……

「ワイン貴様！私とランディアをサドンデス中組ませようというのか！？こいつと！？」

「おい！我と組むのが不服と申すか！」

ランディアが噛み付いてきたがそんなことはもう今どうでもいい
こんなやつと組んだらストレスで頭の血管が切れる

「アリシア落ち着け。普段やり合っているならばお互いの長所も短所も熟知している故の采配だ。ロイヤルガードでも上に伸び上がるまでは命令に従わねばならん。その時もお前は駄々をこねる気か？」

「そんなっ！でも！こいつと反りが合わないのはお前も知ってるだろう！？」

「これも試練だ。それに考えてみろ。ランディアの強みは事務的な方面で戦闘面だとやや不安が残る。一人にやらせたらあっという間に死んでしまう。お前がそれをカバーするんだ。」

「っ、それなら……」

「聞き捨てならんぞ！」

バァンっとランディアが切り株を叩く

「何故我が弱いと言いたげな言い方をするのだ！我は確かにアリシアに連敗続きだが並の兵士よりは強い自負がある！家では負けたことなど一度もない！」

「事実だろう。お前は確かに近接戦においてスピードと打撃のバランスがよく取れていてスパイ活動をさせるならピカイチだ。だが集団相手にはあまりに不利……そうだな、似たような戦術で比べるならお前はケルビムより圧倒的に劣っている。」

「なぁっ！？」

「へ？ぼ、僕？」

急に指名され慌てるケルビムにワインは続ける

「ケルビムは己のリミッターを外してバーサーカーになれる戦士だ。近接戦ダメージならその小柄な体躯からは想像もつかない破壊力を出せる。動きも素早い為あっという間に敵は塵になる。歯止めが効かないのが厄介だがそれを抑えるためにデネブをパートナーにしている。だがお前にそこまでの破壊力はない。おまけに自惚れる癖のあるお前は今戦いにおいて奇襲を誘発する。それは普通科の連中にも情報として知れ渡っているだろう。そこに全てのバランスが取れていてかつ機転も効くアリシアをつけた。何か異論はあるか？」

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