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鬼が六匹 ページ7

「独りだと怖くて眠れないんだ」



そう言うと男の子は戸惑いながらもゆっくりと首を縦に振る



その返事が嬉しくて思わず笑顔になってしまう



「じゃあ布団持ってくるから待ってて!」



そういい、部屋に戻る



掛け布団だけでいいだろうか、敷布団は多分あそこでは敷けないな



そんなことを考えてると外が騒がしくなる



「どうしたんだろ………え…?」



襖を開けると炎が見える



至る所で炎が燃え刀が交わる音がする



「…ッ」



頭は恐怖で埋め尽くされ、喉がヒュッと音を鳴らす



人間はこういうものだ



仲間を、同族を平気で殺す



人に紛れたからと言って安心は出来ないんだ



さっきの男の子…!



思わず吐きそうになる口を手で押えて外に出ると敵らしき人達が斬りかかってくる



走りづらい着物で構図が全く分からない家を走り回っていれば迷子になるのも当たり前



「嘘…ッ」



行き止まりになってしまい、慌てて引き返そうと振り返るが敵はもうすぐそこまで迫っていた



もう駄目だ…ッ



目を瞑りうずくまるがいつまで経っても痛みは来ない



ゆっくりとめをあけるとさっきの敵は周りと同じように息絶えていた



「ぇ…」



なんで?と周りを見渡すと人が立っていた



「ひっ…」



あの人も…敵なんじゃ…



抜けたはずの力が体に戻ってくるのが分かる



に、逃げなきゃ…



そうは思っていてもまるでその人に目を奪われたかのようにその人から目を離せなくなる



すぐそばまで来たその人はどこか見覚えがあった



「お久しぶりです。A」



口調は丁寧で身長も高い



「やはり昔のことすぎて忘れてしまっていますか」



少し寂しそうに笑う



だけれどこの雰囲気、この白髪の髪・・・



「牢の…男の子・・・?」



「ええ」



その瞬間なんとも言えない温かい気持ちが流れ込む



立ち上がろうとするがふと斬られた人達の体がみえた



ヒュッと喉が鳴る



「大丈夫ですか?取り敢えずゆっくりした話は帰ってからしましょう
落ち着いて」



そう言うとその人が私を横抱きにする



「怖いなら目を閉じてて下さい」



そう言われ、幼い頃男の子と寝るときのようにその人の胸に顔を埋める



暖かい…



昔の柔らかい体とは違いがっしりした体



だけどほのかに香るその人の匂いのお陰で体の力が抜けていくのが分かる



あぁ、あの子だ



また会えた

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作者名:ヘアリー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HAK/  
作成日時:2019年2月22日 21時

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